木村宗四郎

木村宗四郎

概説

大相撲において行司の名跡の一つに数えられる木村宗四郎（きむら そうしろう）。この歴史ある名は、これまで三名の行司によって襲名されてきました。しかし、1959年1月の本場所を最後に、この名跡を継ぐ行司は現れていません。現在では途絶えてしまった名跡として、相撲史にその名を留めています。歴代襲名者たちがそれぞれに果たした役割と足跡を辿ります。

歴代襲名者

初代

木村宗四郎の初代として名を刻んだのは、幕末から明治維新期にかけて活躍した行司です。彼の襲名期間は、1864年（元治元年）12月から1867年（慶応3年）4月までのわずか二年半ほどでした。当時の相撲界に関する記録は現在ほど詳細ではないため、初代に関する具体的な事績は多く伝わっていませんが、一定の地位を占めていたことは間違いありません。

二代

二代目を襲名したのは、明治時代中期から後期にかけての時期、1898年（明治31年）1月から1906年（明治39年）1月まで土俵を務めた行司です。この行司は、かつて幕内格の地位にありました。行司としての技量に加え、卓越した知性と優れた興行手腕を兼ね備えていた人物として知られています。その能力を高く評価され、行司出身者としては異例ながら、角界の運営を担う重要なポストである取締に就任しました。また、私生活においては、大正時代を代表する名横綱、栃木山の守備氏の義父にあたる人物でした。行司引退後も角界に留まり、年寄名である春日野、その後は入間川を襲名し、多方面から相撲界を支えました。

三代

三代目木村宗四郎は、昭和中期、1949年（昭和24年）5月から1959年（昭和34年）1月までこの名を名乗りました。彼は、三役格の地位まで昇進した実力派の行司であり、多くの弟子を育てました。特に、後に二代目式守伊三郎となる行司は、この三代目宗四郎の指導を受けました。しかし、彼は健康上の問題を抱えていました。持病が悪化したため、1959年1月場所をもって土俵生活に終止符を打ち、同年4月には行司を廃業することを余儀なくされました。廃業から数年後、1968年（昭和43年）5月12日に逝去しました。この三代目の廃業が、結果として木村宗四郎という名跡の途絶に繋がったのです。

名跡の歴史的意義と現状

木村宗四郎の名跡が最後に襲名されてから既に半世紀以上が経過しました。現在、この名跡を継ぐ行司は存在しません。多くの行司名跡が代々受け継がれている中で、宗四郎は残念ながら歴史の中で途絶えた名跡の一つです。しかし、初代から三代に至る襲名者たちは、それぞれの時代において相撲界の発展に寄与しました。二代目のように異例の出世を遂げた者や、三代目のように後進育成に尽力した者など、その足跡は行司という立場から角界を支え、発展させてきた人々の存在を示しています。木村宗四郎の名は途絶えましたが、歴代襲名者たちが残した功績は、相撲史の中で重要な一頁を占めています。今後、再びこの名跡が復活するかは不明ですが、その歴史は記憶されるべきでしょう。

• ---

参考文献

* 『大相撲人物大事典』ベースボールマガジン社、2001年。

もう一度検索