木村玉治郎 (6代)

6代 木村 玉治郎の生涯と功績

6代木村玉治郎（本名：武田雅史）は、大相撲界において数々の名勝負に立ち会った元三役格行司です。1960年に福島県福島市で生まれ、千葉県船橋市で育った玉治郎は、若い頃は野球やサッカーなどのスポーツに親しむ日々を送っていました。しかし、彼の人生の進路が大きく変わったのは、6年生の時にテレビで見た4代木村玉治郎の姿を目の当たりにした瞬間でした。この出会いがきっかけで、彼は相撲の世界に目を向けるようになりました。

中学校卒業後、彼は立浪部屋に入門し、1976年3月に「木村雅之助」として初土俵を踏みました。彼の相撲界での成長は早く、1993年には十両格に昇進。その後、2003年には憧れの6代木村玉治郎を襲名し、2006年に幕内格、2014年には三役格行司に昇進しました。特に、木村玉治郎の名跡を受け継いだのは、1966年から48年ぶりのことで、その重責を担った彼の活躍は大きな注目を集めました。

彼の軍配は、歴代の行司から譲り受けたもので、独自の掛け声と動作は師匠の影響を強く受けています。「待ったなし！」という掛け声とともに、立合い時に両手を広げる姿勢は、現在の行司では珍しいものであり、相撲の伝統を重んじる彼のスタイルを象徴しています。

木村玉治郎は、2023年9月29日に日本相撲協会に退職届を提出しました。立浪親方が事情を説明する中、退職の理由については詳細には語られていませんが、その背景には年功序列や昇格に関するいくつかの事情があったとされています。特に、41代式守伊之助の昇格が遅れた影響が指摘されています。彼は、師匠への深い尊敬の念を持っており、その姿勢は行司としての実績に表れています。

エピソード

彼の相撲界でのエピソードは多岐にわたります。中学の同級生には元前頭1・富士乃真がいて、彼らは一緒に蔵前国技館まで足を運ぶほど、相撲に対する関心が高かったことが知られています。入門当初には、師匠が辞任を決意した際、彼は仲間と共に涙を流して別れを惜しんだエピソードもあります。また、彼が玉治郎の名を継ぎたかったという願望が実現したのは、2003年のことでした。その時の喜びはひとしおで、「玉治郎の名に恥じないよう頑張る」と決意を新たにしました。

彼の裁いた取組の中でも印象的なものがいくつかあります。2002年の取組では、全盛期の寺尾と貴闘力の激しい戦いを見守り、その際の貴闘力の涙は多くのファンの心に残りました。また、2019年には、史上初の関脇同士の優勝決定戦を裁くという栄誉を果たしました。

行司としての役割に加え、相撲甚句の名手としても知られ、相撲文化の普及に努めたことも特筆すべき点です。2012年には、相撲甚句を歌い上げる役割を果たし、その才能は多くの人々に認められています。

大相撲の歴史の一部として、6代木村玉治郎は相撲界での貴重な存在でした。彼の名は、相撲の伝統と情熱によって、今後も語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索