木村福成

木村 福成（きむら ふくなり）は、1958年5月30日生まれの日本の経済学者です。専門分野は国際貿易論および開発経済学であり、長年にわたりこの分野の研究と教育の第一線で活躍しています。現在は慶應義塾大学経済学部の名誉教授およびシニア教授の職にあります。

経歴

木村氏は東京都で育ちました。1982年に東京大学法学部第3類を卒業後、財団法人国際開発センターにて研究助手としてそのキャリアをスタートさせました。その後、渡米し、ウィスコンシン大学マディソン校で経済学を深く学びます。1990年には同大学で経済学修士号（M.S.）を取得し、翌1991年には経済学博士号（Ph.D.）を取得しました。

博士号取得と同年の1991年には、ニューヨーク州立大学オルバニー校経済学部助教授に就任し、研究・教育活動を開始します。1994年に帰国し、慶應義塾大学経済学部に助教授として着任。2000年には同大学経済学部教授に昇任し、以来、慶應義塾大学を拠点に研究教育活動を展開しています。慶應義塾大学では、2015年に大学院経済学研究科委員長、2017年には経済研究所国際経済学研究センター長を務めるなど、要職を歴任しました。

学術機関以外でも、国際的な組織や政府機関で重要な役割を担っています。2008年から東アジア・アセアン経済研究センター（ERIA）のチーフエコノミストを務め、東アジア地域の経済統合に関する政策研究を主導しました。また、国内においては、2010年には日本国際経済学会の会長に就任し、学会の発展に貢献。2012年からは公益財団法人東京経済研究センターの代表理事を務めています。さらに、2016年には経済産業省産業構造審議会の臨時委員や通商・貿易分科会の小委員会委員長を務めるなど、政府の通商政策に関する議論にも深く関わっています。

慶應義塾大学での活動に加え、過去には非常勤講師として他の大学でも教鞭をとっています。具体的には、1995年に横浜国立大学、1996年に法政大学、2002年には神戸大学大学院経済学研究科および神戸大学国際協力研究科で講義を行いました。

主要著作

木村氏は、国際貿易論や東アジア経済に関する多数の著作を公刊しています。単著としては、『国際経済学入門』（日本評論社、2000年）や、東アジアの構造改革やメガFTAに焦点を当てた著作があります。共著も多く、小浜裕久氏、佐々波楊子氏、中島隆信氏、北村行伸氏、新保一成氏、石川幸一氏、丸屋豊二郎氏、鈴木厚氏、馬田啓一氏、浦田秀次郎氏、田中素香氏、渡邊頼純氏、大久保敏弘氏、安藤光代氏、松浦寿幸氏、早川和伸氏、椋寛氏、田中明彦氏、吉崎達彦氏、丸川知雄氏、清田耕造氏、小橋文子氏ら、多くの研究者と共同で研究成果を発表しています。これらの共著は、『実証国際経済入門』、『経済論文の作法』といった研究方法論に関するものから、『アジア地域経済の再編成』、『東アジア国際分業と中国』、『加速する東アジアFTA』、『検証・東アジアの地域主義と日本』、『日本の新通商戦略』、『日本通商政策論』、『TPPと日本の決断』、『米中激突と日本の危機』など、具体的な政策課題や地域経済分析に踏み込んだものまで多岐にわたります。

その他の活動

学術活動や執筆に加え、時事問題や政策課題についてメディアで発言することもあります。例えば、ビデオニュース・ドットコムに出演した記録があります。

木村氏は、その深い学識と幅広い活動を通じて、日本の国際経済学研究の進展に大きく貢献しており、特に東アジア地域における経済統合や通商政策に関する議論においては中心的な役割を担っています。

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