木村立嶽

木村立嶽 - 狩野派の巨星

木村立嶽（きむら りつがく）は、1827年に現在の富山市南田町に生まれ、明治23年に横浜で亡くなるまで、幕末から明治時代にかけて活躍した著名な日本画家です。彼の幼名は専之助であり、号として雅経と立嶽を用いました。狩野派を代表する画家として、狩野芳崖や橋本雅邦、狩野勝玉と並び称され、彼らは狩野派四天王とも称されました。

幼少期と師匠の元での修行

木村立嶽は木村定吉の第7子として生まれ、父親は仏師として修行をしていました。少年期の彼は、6歳の時に藩画師に入門し、後に藩主・前田利保の推薦を受けて江戸へと移ります。江戸では、木挽町狩野家の狩野栄信や養信に教えを受け、16歳で藩士として認められました。そして20歳で狩野派の技術を習得し、「雅」の字を与えられ雅経と名乗るようになりました。

富山への帰還と画業の展開

1848年、彼は藩命で富山へ戻り、地元で殿中に「松図」を描く機会を得ます。その絵技に感銘を受けた藩主からは、名山・立山に因んで「立嶽」という号を賜りました。彼の生活は、当初江戸と富山の間を往復するものでしたが、1851年には木挽町の画所を辞め、富山に居を移します。この時期には『本草通串証図』なる作業に参加し、華やかな花卉図を手がけました。

復帰と新たな日本画の様式

1860年には幕命によって再度江戸の木挽町画所に復帰し、狩野雅信のもとで学び続けます。この時期、同門の芳崖や狩野友信と共に江戸城杉戸絵の制作に関わりました。1868年には新政府の命により、奈良の神武天皇陵の写生に赴き、荒廃した御陵域の修理を行い、その後も調査を続けました。

生活と画業の苦難

明治8年には内務省図書寮に仕官し、画図掛として神武天皇御陵図を制作しました。この作品は後の神武陵の基となりましたが、生活は決して安定せず、彼は芳崖と共に精工社の陶器画や漆器の下絵を描くことで生計を立てました。1881年の内国勧業博覧会では陶器画で二等賞を受賞し、翌年には日本中の産物の写生図を描くよう命じられました。

新しい日本画の創造

この頃、フェノロサとの出会いがあり、彼の意見を取り入れた作品を多く手掛けるようになります。1884年の第二回内国絵画共進会では「人物」と「山水」を出品し、再度褒状を得ました。明治23年には横浜でその生涯を閉じましたが、その影響力は後の世まで続きます。長男の木村立峰も画家として活動をし、彼の遺志を引き継ぎました。

代表作と評価

その作品は、狩野派における伝統的な技術を基盤としつつも、新しいスタイルを模索するものであり、高い評価を受けています。木村立嶽は、日本画界においてやがて重要な役割を果たすことになります。

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