木枯しの少女

木枯しの少女：ABBA誕生への序章

ベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァース、後に世界的なグループABBAを結成する二人の才能が結実した楽曲「木枯しの少女」(She's My Kind of Girl)は、1970年代初頭の音楽史に鮮やかな足跡を残しました。この曲は、単なるヒット曲以上の意味を持ち、ABBAという伝説的グループの誕生へと繋がる重要な役割を果たしたのです。

1970年、スウェーデンでのデビュー

「木枯しの少女」は、1971年に公開されたスウェーデン映画『Inga II: The Seduction of Inga』のために作曲されました。この映画は、アメリカ合衆国でも公開され成功を収めています。1969年の11月もしくは12月、Europafilmのスタジオでレコーディングされたと推測されています。1970年3月には、ビョルン&ベニーのデビューシングルとして、映画で使用された「インガのテーマ」をB面に収録し、ポーラー・ミュージックよりスウェーデンとフランスでリリースされました。興味深いことに、このシングルは擬似ステレオ音源のみが現存し、モノラル音源は発見されていません。また、同年リリースされた彼らのデビューアルバム『リッカ』には収録されていませんでしたが、2006年のリイシューCDにボーナス・トラックとして追加収録されました。

1972年、日本の大ヒット

スウェーデンでのリリースから2年後、1972年、「木枯しの少女」は日本で発売されると、予想をはるかに超える大ヒットを記録しました。週間チャート最高6位、18万8千枚以上の売上を記録したとオリコンチャートデータは示しています。50万枚の売上という説もありますが、いずれにしても当時の日本の音楽シーンに大きな衝撃を与えたことは間違いありません。この成功は、ビョルン&ベニーを1972年11月に東京で開催された第3回世界歌謡祭に招致するきっかけとなりました。彼らは当時、将来ABBAのメンバーとなるフリーダとアグネッタを伴って参加しています。日本のスター歌手、南沙織も洋楽カバー・アルバム『哀愁のページ』でこの曲を収録するなど、日本の音楽界に大きな影響を与えました。

ABBAへの道

「木枯しの少女」は、ABBA結成後もその存在感を示し続けました。1973年には、ビョルン&ベニー、アグネッタ&フリーダ名義でリリースされたABBAの「リング・リング」（英語版）のスウェーデン盤シングルのB面に収録されました。初期のABBAのアルバムには収録されていませんでしたが、『リング・リング』アルバムの一部地域盤には収録されています。この曲は、アグネッタ・フォルツコグやアンニ＝フリッド・リングスタッドが参加する前の、ビョルンとベニーによる作品であることが、ABBAの歴史において特筆すべき点です。

まとめ

「木枯しの少女」は、ABBAという世界的なグループの礎を築いた重要な楽曲です。スウェーデンでのリリースから日本の大ヒット、そしてABBAへの関与と、その軌跡は、音楽史における一つの重要なエピソードとして記憶されています。この曲は、単なるヒット曲を超えて、音楽的才能と時代背景が織りなす、魅力的な物語を私たちに伝えていると言えるでしょう。

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