木瓜紋

木瓜紋について

木瓜紋（もっこうもん）は、日本の家紋の中でも特に有名な模様であり、十大家紋の一つに数えられています。この文様は、元々有職文様に由来しており、瓜の断面や鳥の巣をモチーフとしています。木瓜紋は、特に子孫繁栄を祈願するための意匠として、多くの家系で用いられてきました。

起源と形状

木瓜紋は、唐の時代中国の官服に使われた有職文様の一種である窠紋に起源を持つとされます。この窠紋は、異なる色の糸を特定の位置で織り込むことで表現される文様で、主に唐花紋と呼ばれる花柄が生地全体に織り込まれたものです。日本においてこの文様が取り入れられた際には、特に染織技術を駆使して、中心に4弁の唐花を配置し、その周囲を外郭弁で囲んだ形状が基本となりました。実際には、奈良時代以降、刺繍によっても表現されることが多く、技術の進歩に伴い、より緻密で複雑なデザインが可能となりました。

木瓜紋は、横置きのものを「木瓜」と呼び、縦置きのものは「竪木瓜（たてもっこう）」と区別されます。また、外郭弁の数に応じて名称が変わり、5弁のものは五瓜（ごうり・ごか）、6弁のものは六瓜（ろくうり・むつか）、8弁のものは八瓜と呼ばれます。さらに、木瓜紋は他の家紋と組み合わせることで、多様なバリエーションが生まれ、「木瓜二つ引き」や「丸木瓜」、「庵に木瓜」、「三方木瓜」など、さまざまな形式が存在します。

歴史的な利用

木瓜紋は、特に武家や木工に関わる職人の家系で多く見られます。戦国時代の武将である織田信長の「織田木瓜」や、工藤氏、さらにその末裔である伊東氏の家紋にも使用されています。また、木瓜紋は神社の神紋としても広く認知されており、日本各地の祇園神社や八坂神社で見ることができます。これらの神社では、五瓜紋が特に有名です。

面白い文化的な側面として、木瓜がキュウリを指す別名でもあることから、特に京都や博多などの地域では祇園祭の際にキュウリを食べないという習慣が存在します。ただし、博多の『石城志』では、祭りの間にキュウリを食べることを禁じる理由はないとされているため、地域によって解釈や慣習が異なることも特徴的です。

家系による違い

武家の中でも、木瓜紋の形は家族によって異なることが多く、それぞれの家の名前を付けて「××瓜（うり・か）」と呼ぶことが一般的です。たとえば、有馬氏の「有馬瓜」や、大村氏の「大村瓜」、織田氏の「織田瓜」、太田氏の「太田瓜」が存在します。また、六瓜の形状を持つ氏族としては、相良氏や小野寺氏が知られています。このように、木瓜紋は日本の文化や歴史を反映した重要なシンボルであり、さまざまな場面でその美しさと意味が語り継がれています。

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