祇園神社

祇園神社とは

祇園神社は、主に牛頭天王（ごずてんのう）またはスサノヲを祭神とする神社で、祇園信仰に基づいています。この信仰は、スサノヲが祇園精舎の守護神である牛頭天王と同一視されたことから始まりました。そのため、かつては「牛頭天王社」と呼ばれる神社も多く存在しました。しかし、明治時代の神仏分離によって、仏教系の牛頭天王は祭神から外され、神道の神であるスサノヲが主祭神となりました。この際に、多くの神社名から「祇園」や「牛頭天王」といった仏教的な名称が取り除かれました。総本社である京都の祇園社も八坂神社と改称されました。

しかし、神社の名前が変わっても、地名や祭りの名前、また神社の愛称として「祇園」「天王」という言葉は今も各地に残っています。例えば、「祇園祭」や「（お）天王さん」という呼び方は、地域の人々に親しまれています。

各地の祇園神社

日本各地には、祇園信仰に基づく神社が数多く存在します。以下にいくつかの例を挙げます。

近畿地方

滋賀県愛知郡愛荘町 祇園神社：毎年7月16日に行われる花火大会が有名です。
兵庫県神戸市兵庫区上祇園町 祇園神社：平清盛ゆかりの神社で、祇園山の麓に鎮座しています。

四国地方

徳島県吉野川市山川町安楽寺 祇園神社：神体山の麓には、淤騰夜神社と天照皇大神宮が鎮座しています。
愛媛県大洲市八多喜町甲 祇園神社：真冬の1月下旬に行われる祇園祭で知られ、祇園公園のある山の麓にあります。

中国地方

岡山県倉敷市下津井 祇園神社：下津井城跡に境内があり、江戸時代には北前船業者からの信仰を集めていました。
広島県広島市安佐南区祇園 安神社（お祇園さん）：元々は京都の祇園（感神院）の分霊社で、安芸之国祇園社と称していました。明治2年に安神社と改称しましたが、周辺地域は「祇園」の地名が残っています。

九州地方

福岡県久留米市草野町草野 祇園神社：須佐能袁神社（すさのおじんじゃ）の通称です。
佐賀県神埼市神埼町神埼 祇園社：櫛田宮の境内社です。
佐賀県神埼市神埼町尾崎 祇園社
熊本県熊本市西区春日 北岡神社：創建当初から勅願社であり、近衛天皇より「日本第弐 西九壹社」の尊称を賜りました。
宮崎県日南市梅ヶ浜 祇園神社
宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町鞍岡 祇園神社：夏の大祭と秋の例大祭「おくんち」で知られ、鞍岡祇園神社とも呼ばれています。神体山である祇園山の麓に鎮座しています。

名称が異なる祇園信仰の神社

祇園信仰に基づく神社の中には、名称が異なるものもあります。

愛知県豊橋市関屋町 吉田神社：牛頭天王社であり、他の吉田神社とは関連性がありません。かつては牛頭天王祠、須佐男社と呼ばれていました。
福島県南会津郡南会津町 田出宇賀神社：祭神にスサノヲがおり、祇園信仰が取り入れられています。

これらの例からもわかるように、祇園信仰は日本各地に広がり、その形態も多様です。

関連事項

素盞嗚神社：祇園神社の祭神であるスサノヲを祀る神社です。
八坂神社：京都にある祇園社の後継であり、祇園信仰の中心的な神社の一つです。

このように、祇園神社は日本の歴史と文化に深く根ざした存在であり、各地で異なる姿を見せています。

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