木馬館

木馬館の歴史と特徴

木馬館（もくばかん）は、東京市台東区浅草に位置する大衆演劇の劇場であり、地元の文化や芸能の中心地として多くの人に親しまれています。もともとは昆虫館としての出発点を持ち、長い歴史の中でさまざまな形態を経て現在に至りました。

来歴

木馬館の起源は1907年にさかのぼります。当時の昆虫学者名和靖によって、「昆虫知識普及館」が設立され、4月21日に「通俗教育昆虫館」として開館しました。運営は順調に行かず、1918年には根岸興行部に経営が移行されることになります。ここで昆虫をテーマにした展示から、演劇の舞台に変わる過程が始まります。

1922年には1階に木馬が設置され、「昆虫木馬館」という新しい名称となりました。当初は楽団によって演奏されていましたが、次第にレコードを使った伴奏に変わっていきました。

その後、1938年には安来節が中心となる常打ち小屋としての運営が始まり、以降39年にわたって多くの観客を惹きつけ続けました。特に出雲出身の春子、八千代、清子といった大和家三姉妹が専属として活躍していたことでも有名です。

1943年には戦局の影響で、一時営業を停止することとなりました。しかし、建物自体は1945年の東京大空襲を生き残り、戦後まもなく再び木馬が復活しました。1946年秋からは2階の安来節も再び公演を行うようになり、昭和の時代において重要な文化拠点としての地位を確立しました。

1956年には現在の鉄筋コンクリート2階建ての施設に改築され、1階は映画館として利用されることになりました。また、1963年ごろには安来節の経営が厳しくなりますが、1967年からは漫才やストリップなども取り入れられるようになりました。1970年には1階部分が浪曲定席「木馬亭」となり、現在までこの形式が続いております。

大衆劇場としての地位

1977年には、木馬館の2階が大衆演劇の劇場として再オープンし、以来今日まで多くの人々に親しまれる場所として存在し続けています。そして、木馬設置時代を物語るレプリカの木馬が、入り口横に展示されており、当時の雰囲気を感じられる貴重なモニュメントとなっています。

これまでの歴史の中で、木馬館は多くの著名な芸人や芸術家が舞台に立った場所でもあります。古今亭志ん生、三遊亭圓生、出雲の女をテーマにしたドラマなど、数多くのエピソードが木馬館を彩っています。

まとめ

木馬館はその多様な歴史と文化的意義から、ただの劇場に留まらず、浅草を代表する観光名所となっています。地元の人々にとっても特別な存在であり、世代を超えて愛され続けている場所なのです。これからも、木馬館は大衆演劇を通じて多くの観客を楽しませることでしょう。

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