未来部

未来部（みらいぶ）

未来部は、創価学会の組織体系において、18歳以下の信者が所属する重要な部門です。具体的には、小学校に入学してから高等学校を卒業するまでの期間にある会員が対象となります。この部門は、創価学会の未来を担う人材を育成することを目的としており、その年代に応じて細かく区分されています。

組織区分

未来部は、所属する信者の年齢や学校課程に基づき、以下の三つの部門に分けられます。さらに、中等部と高等部では性別による区分も設けられています。

少年少女部：主に小学校に在籍する、おおむね6歳から12歳までの男女会員が所属します。
中等部：中学校や中等教育学校前期課程（中高一貫校の1年生から3年生）に在籍する、おおむね12歳から15歳までの男女会員が対象です。この部門は、男子中等部と女子中等部に分かれて活動することが基本とされています。
高等部：高等学校や高等専門学校（1年生から3年生）、中等教育学校後期課程（中高一貫校の4年生から6年生）などに在籍する、おおむね15歳から18歳までの男女会員が所属します。こちらも、男子高等部と女子高等部に分かれて活動することが一般的です。

近年の日本では少子化が進んでおり、これは創価学会の会員構成にも影響を与えています。特に未来部においては、会員数の減少が見られることから、男女別であった中等部員や高等部員が合同で集会を行うといった対応も見られるようになってきています。

創価学会の内部では、未来部員はしばしば「後継の人材」や高貴な鳥のひなを意味する「鳳雛（ほうすう）」といった通称で呼ばれ、将来を嘱望される存在として位置づけられています。また、親の代からの創価学会員である家庭に生まれ、幼少期から入会している子供たちは、「福子（ふくし）」や「学会2世（第2世代）」「学会3世（第3世代）」などと呼ばれています。

卒業後の進路と所属

高等学校卒業をもって未来部（高等部）も卒業となります。その後の進路に応じて、創価学会内の所属組織も変わります。

大学や短期大学、専門学校に進学した男性会員は「学生部」に、女性会員は「女子学生部」に所属します。
高校卒業後に浪人を選択した場合や、就職した男性会員は「男子部」に、女性会員は「女性部」に所属を移します。

このように、未来部での活動を終えた後も、それぞれのライフステージに応じた組織で信仰活動を継続することが促されます。

活動内容

未来部員が参加する活動や集会は、本来は子供（未成年者）自身の意思に基づく任意参加を前提としています。しかし、活動熱心な保護者を持つ家庭の場合、子供の意思に関わらず、実質的に参加が促されたり、強制されるケースもあると指摘されています。

未来部員を指導・支援する大人の担当者は、男子部員、壮年部員、女性部員などが務め、「21世紀使命会」と呼ばれることもあります。家庭では、創価学会の基本的な信仰実践である勤行（ごんぎょう）と唱題（しょうだい）が奨励されます。勤行は法華経の特定部分（方便品・如来寿量品）を読誦すること、唱題は「南無妙法蓮華経」の題目を唱えることを指します。

創価学会の指導者である池田大作名誉会長は、日常生活における「学校での勉強」「読書」「親孝行」といった努力を未来部員に積極的に奨励しています。

また、近年ではユニークな活動も展開されています。例えば、2015年からは、未来部員が4人1組のチームを組み、全編英語の台詞で寸劇を披露し合う「未来部 E-1グランプリ」というコンクールが開催されています。この全国決勝大会は、通常、創価大学（東京都八王子市）で行われます。

各部の主な活動

各部門では、それぞれの年代に合わせた活動が行われています。

少年少女部：1965年に結成されました。主に土曜日または日曜日に男女合同で集まり、「部員会」と呼ばれる座談会形式の会合を中心に、図工、作文、合唱団活動などを行います。創価学会の教えや池田名誉会長の指導を学ぶための専用教材（『ライオンキング御書』、『少年少女きぼう新聞』など）が用いられ、信仰の基礎が築かれます。部員会では、部歌『Be Brave! 獅子の心で』の斉唱も行われることがあります。未就学児や小学校低学年の会員を対象としたイベント「SOKAキッズフェスタ」なども開催されています。

中等部：1965年に結成されました。土曜日または日曜日に、男子と女子が分かれて活動することが多いです。部員会のほか、合唱団活動、『日蓮大聖人御書全集』の研鑽、研修会への参加、推薦図書（『希望対話』、『未来ジャーナル』など）の読破、英語スピーチ大会などが活動内容に含まれます。

高等部：1964年に構想され、結成されました。土曜日または日曜日に、男子と女子が分かれて活動することが基本です。部員会、『日蓮大聖人御書全集』の研鑽、推薦図書（小説『人間革命』、『新・人間革命』、 『青春対話』、『未来ジャーナル』など）の読破が主な活動です。また、日蓮大聖人の御書や創価学会の教義に関する知識を問う「任用試験」の受験が奨励されています。英語やフランス語、中国語、韓国語などの語学スピーチ大会が開催されることもあります。

高等部では、会員の大学進学を積極的に奨励しています。これは、創価学会員全体の学歴を高め、社会の様々な分野に人材を輩出することで、創価学会員の社会的地位向上や社会全体への影響力強化に繋がると、創価学会本部が考えているためとされています。

関連活動・行事

未来部員向けの機関紙として、少年少女部員向けの月刊紙『少年少女きぼう新聞』と、中等部・高等部員向けの月刊紙『未来ジャーナル』が、聖教新聞社から発行されています。また、部内には合唱団（富士少年希望少女合唱団、富士中学生合唱団、正義合唱団）やオーケストラ（希望オーケストラ）、特定の目的を持った人材グループ（ナポレオングループ、ローレルグループ、大河グループ、北斗会）などが組織されています。

全国規模の行事としては、「全国未来部夏季研修会」が高等部員を対象に開催されます。この研修会では、信仰に関する学習（御書講義）や、社会で活躍する創価学会員の講演を聞き将来について考える企画（ドリームブース）などが行われます。最終日には、研修の成果を発表する「全国未来部大会」が開催されます。

少年少女部向けの「SOKAキッズフェスタ」は、未就学児や小学校低学年向けのイベントで、全国の会館を会場に中継形式で行われます。歌やダンス、読み聞かせ、クイズなどがプログラムに含まれ、子供向け番組の出演経験者などが登場することもあります。

未来本部

2005年11月には、次世代への信仰継承をより強化するため、創価学会本部内に「未来本部」が新設されました。初代統括本部長には、池田大作名誉会長の長男である池田博正氏（当時副理事長）が就任しました。

未来部に関する詳細な情報は、「未来部希望ネット」（創価学会公式サイト）で公開されています。

（参考文献：『親が創価学会』島田裕巳、『“親が創価学会”の子の悲惨すぎる学校生活』PRESIDENTオンラインなど）

関連項目：宗教2世

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