末延道成

末延道成：実業と社会貢献に生涯を捧げた先駆者

末延道成（すえのぶ みちなり）は、安政2年（1855年）に土佐国で生まれ、日本の近代化を支えた実業家・政治家として名を刻みました。東京海上火災保険の取締役会長、貴族院議員を歴任し、多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。

若き日の研鑽と三菱との出会い

医師の家に生まれた末延は、藩校で学んだ後、大阪で英学を修め、東京大学法学部を卒業。岩崎弥太郎の給費留学生として英国に留学し、帰国後三菱に入社。三菱汽船や日本郵船の要職を歴任する傍ら、明治生命、東京海上などの取締役も務めました。

丸の内開発への貢献

1888年からの欧米・インド巡遊中、ロンドンから荘田平五郎と共に、東京・丸の内の練兵場跡地買収を岩崎弥之助に進言。この進言が、後の丸の内を赤煉瓦のオフィス街へと変貌させるきっかけとなりました。

保険事業への注力と「三菱の四天王」

帰国後、末延は日本郵船を辞し、三菱の保険部門を専担。明治火災（現・東京海上日動火災保険）の取締役、東京海上火災保険取締役会長を歴任し、日本の保険業界の発展に大きく貢献しました。その功績から、荘田平五郎、豊川良平、近藤廉平と並び「三菱の四天王」と称されました。

東武鉄道の創立と経営

1896年、末延は東武鉄道の創立発起人に名を連ね、初代専務取締役に就任。鉄道事業の発展にも尽力しました。その他、山陽鉄道、北樺太石油、北樺太鉱業など、多岐にわたる企業の経営に携わりました。

立教大学への貢献

末延は、母校である立教大学の発展にも大きく貢献しました。校友会館建設の際には、多額の寄付を行い、その完成を支援。また、娘婿である末延三次が、義父の名を冠した「鳥洞奨学金」を立教大学に設立し、後進の育成に貢献しました。

晩年と死後

1926年、貴族院議員に勅選。昭和7年（1932年）に心臓麻痺で逝去。その功績から、没後正五位が贈られました。

親族

妻は三菱創業に尽力した石川七財の娘。実子はなく、石川保馬の娘の夫である平井三次を養子としました。三次が設立した末延財団は、現在も奨学金事業などを通じて社会に貢献しています。

李公麟「五馬図巻」の所有者

末延は、中国・北宋時代の画家、李公麟の真筆「五馬図巻」を所有していました。この絵巻は、末延の死後に重要美術品に認定されています。

末延道成は、実業家として経済の発展に貢献する傍ら、教育や文化の振興にも尽力しました。その多岐にわたる活動は、日本の近代化を支えた偉人として、後世に語り継がれています。

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