末弘ヒロ子

末弘ヒロ子：美貌と激動の生涯

末弘ヒロ子（1893年5月20日 - 1963年3月18日）は、明治時代に日本初の全国的なミス・コンテストで選ばれた女性です。福岡県小倉市長の四女として生まれ、学習院女学部に在籍していた16歳の時に、時事新報社主催の「全国美人写真審査」で第1位に輝きました。

若き日の栄光と挫折

幼少の頃からピアノ、華道、茶道などを習い、地元では「小倉小町」と評判でした。1908年、日本初のミスコンテストで、応募総数7千名の中から見事1位に選ばれ、その美貌は審査員の絶賛を浴びました。しかし、コンテスト参加が発覚したことで、学習院は協議会を開き、ヒロ子を諭旨退学処分としました。

侯爵家との結婚

退学後、ヒロ子に思わぬ転機が訪れます。乃木希典院長（当時）の尽力により、貴族院議員となる野津鎮之助（侯爵、陸軍大将・野津道貫の長男）との縁談が舞い込み、結婚しました。この結婚は「乃木将軍の大岡裁き」として語り継がれています。義父である野津道貫の看病も献身的に行い、良妻として知られました。

晩年

晩年は、姉の孫である山下洋輔氏が、腰の曲がった老女となったヒロ子を目撃したという記録が残っています。1963年、脳梗塞により69歳で急逝しました。

人となり

サツマイモなどの野菜を好み、肉や魚はあまり食べなかったそうです。甘いもの、特にカキやミカンが大好きでした。ミスコン出場の件は自ら語ることはなかったものの、野津家ではよく知られていたエピソードです。

親族

夫の野津鎮之助との間に、一男三女をもうけました。

次男：野津高光（侯爵・海軍主計少尉、戦後は銀行勤務）
長女：浜口美智子（浜口久常（銚子醤油社長）と結婚）
二女：大原真佐子（大原総一郎（倉敷絹織社長）の妻。娘の泰子は上皇后美智子の弟と結婚）
三女：田中佐恵子（田中秀雄（京都ダイカスト工業会長）と結婚）

また、姉の直子の血縁には、ジャズピアニストの山下洋輔がいます。

まとめ

末弘ヒロ子は、美貌で時代の寵児となった一方で、退学、結婚、そして晩年と、様々な経験を重ねた女性でした。彼女の生涯は、日本の近代史における女性の生き方の一つの側面を映し出していると言えるでしょう。

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