末弘厳太郎

末弘厳太郎について

末弘厳太郎（すえひろ いずたろう、1888年 - 1951年）は、日本の法学界において重要な役割を果たした法学者です。彼は、民法、労働法、法社会学を専門とし、その研究は今なお多くの人々に影響を与えています。法学博士の学位を持ち、東京大学名誉教授として多くの後進を育て上げました。また、正三位勲一等瑞宝章を受勲し、その業績が高く評価されています。

経歴

末弘は1888年に、山口県の大審院判事の長男として生を受けました。教育を受けたのは、東京開成中学や正則英語学校、第一高等学校を経て、1912年に東京帝国大学の法科大学を優秀な成績で卒業し、銀時計を授与されるほどの学生でした。その後、大学院に進学し、1914年には助[[教授]]に任命されました。

1917年には民法の研究のためアメリカに留学し、1920年に法学博士の学位を取得して帰国します。帰国後は東京大学法学部教授に就任し、1942年から1945年にかけて法学部長を務めましたが、戦後はGHQの政策により職を辞し、教職を追放されました。

1951年、末弘は62歳で亡くなり、その遺骨は豊島区の染井霊園に眠っています。

社会的活動

末弘は法学者としての顔だけではなく、社会活動にも積極的でした。戦時下においては、中国農村慣行の調査に参加し、また戦後は労働法の整備に尽力しました。1947年には中央労働委員会の会長を務め、労働三法の制定に重要な役割を果たしました。

また、水泳競技の普及にも関与し、日本水泳連盟の設立に尽力し、会長を勤める傍ら、ベルリンオリンピックに役員として参加しました。1927年には、「練習10則」の策定や「国民皆泳の歌」の作詞など、様々な活動を通じて日本の水泳界に貢献しました。

学術的な業績

末弘の学説は、特に民法研究において多くの革新をもたらしました。彼は概念法学を批判し、社会学の知見を法解釈に取り入れることで、「生きた法」と「法律」の乖離を指摘しました。彼の判例研究アプローチは当時革新的であり、法学の実務に直結するものとして評価されるようになりました。

彼の影響は多大で、特に法社会学の先駆者としての地位を確立しました。また、軽妙さを備えた著作は専門家以外からも広く読まれています。著書には『民法雑記帳』や『嘘の効用』があり、これらは法学だけでなく一般にも受け入れられています。

人物紹介

末弘は「ガンちゃん」という愛称で親しまれ、教育者としてだけでなく、社会のさまざまな側面にも深く関わった多才な人物でした。彼の研究や貢献は、後世の法学者にも影響を与え続けています。

末弘の業績は、単なる学術活動を超えて、社会全体に対して深く根ざしたものであり、その精神は今なお日本の法学界で生き続けています。

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