末盛憲彦

末盛憲彦：日本のテレビ黄金期を彩った演出家

末盛憲彦（1929年-1983年）は、日本のテレビ界に多大な影響を与えたプロデューサー、ディレクターです。慶應義塾大学卒業後、NHKに入社。1950年代後半から1980年代にかけて、数々の伝説的な番組制作に携わりました。彼の才能と情熱が、日本のテレビ番組の進化に大きく貢献したと言えるでしょう。

NHKでの活躍と『夢であいましょう』

NHK在籍中は、音楽バラエティ番組を中心に活躍しました。中でも、国民的人気番組となった『夢であいましょう』（1961年-1966年）の演出は、彼の代表作の一つです。この番組で音楽監督を務めた中村八大氏とのタッグは、番組の成功に大きく貢献しました。軽妙な音楽とテンポの良い構成、そして出演者の魅力的なキャラクターが融合した『夢であいましょう』は、視聴者に大きな感動と喜びを与え、日本のテレビ史に燦然と輝く一ページを刻みました。

アメリカでの視察と『ステージ101』への影響

1965年から1966年にかけて、末盛氏はアメリカに滞在し、現地のショー番組を視察しました。特に、若者グループ「ヤング・アメリカンズ」のパフォーマンスに強い感銘を受けます。帰国後、その経験を活かして制作に携わったのが、NHK初の若者向け音楽番組『ステージ101』（1970年-1974年）です。

『ステージ101』では、ヤング・アメリカンズを参考に、歌とダンスを融合させたショー形式を採用。番組のレギュラー出演者である「ヤング101」は、オーディションによって選ばれた若者たちで構成されました。彼らは、厳しいレッスンを経て、高いパフォーマンス力を身につけました。音楽監督には再び中村八大氏を迎え、さらに和田昭治氏（作曲）、中川久美氏（ダンス）、早野寿郎氏（芝居）、永六輔氏（トーク）、中嶋弘子氏（衣装）、大関早苗氏（美容）といった各分野の第一人者を講師陣に招き、約半年間の厳しいトレーニングを実施。末盛氏の演出手腕と、豪華講師陣による指導が相まって、『ステージ101』は、若者たちの才能を輝かせる、革新的な音楽番組として高い人気を獲得しました。末盛氏は初代ディレクターとして、番組の成功に大きく貢献しました。

その他の番組制作と多様な才能

『夢であいましょう』、『ステージ101』以外にも、末盛氏は『午後のおしゃべり』、『音楽の花ひらく』、『NHK紅白歌合戦』、『東京の山賊』、『歌謡グランド・ショー』、『歌のゴールデンステージ』、『世界史漫遊』、『ビッグ・ショー』、『テレビファソラシド』、『この人○○ショー』など、数多くの番組制作に携わりました。そのジャンルは音楽バラエティにとどまらず、幅広い分野に及びます。また、舞台演出にも才能を発揮し、『THE MAN THE MUSIC HIDEMI SAITO'80』の構成・演出も手掛けています。

急逝とその後

1983年、末盛氏は『この人・武原はんショー』の番組演出翌日に、冠状動脈硬化症のため急逝しました。享年54歳でした。彼の突然の死は、日本のテレビ界に大きな衝撃を与えました。

末盛氏の妻である末盛千枝子氏は、夫の没後、絵本『あさ One morning』でボローニャ国際児童図書展グランプリを受賞。その後、「株式会社すえもりブックス」を設立するなど、夫の意志を継いで活躍を続けました。

まとめ

末盛憲彦氏は、日本のテレビ黄金期を代表するプロデューサー、ディレクターでした。彼の功績は、数々の名番組を生み出したことだけでなく、新しい番組フォーマットや演出手法を積極的に取り入れ、日本のテレビ番組の進化に貢献したことにもあります。彼の創造性と情熱は、今もなお、多くのテレビ関係者たちの心に深く刻まれています。彼の残した作品は、これからも多くの人々に感動と喜びを与え続けるでしょう。彼の生涯と業績は、日本のテレビ史における重要な一章として、後世に語り継がれていくことでしょう。

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