武原はん

武原はん - 日本舞踊界の大御所

概要

武原はん（たけはら はん、1903年2月4日 - 1998年2月5日）は、徳島県出身の著名な日本舞踊家であり、本名は武原幸子です。彼女は個人舞踊家として独自の道を歩み、多くの舞踊作品を発表しました。その舞は「動く錦絵」とも称され、その美しさと気品で観客を魅了しました。

来歴

1903年、徳島市籠屋町に生まれた武原は、父親がブリキ職人という家庭環境で育ちました。1915年には大阪宗右衛門町の大和屋芸妓学校へ入学し、山村流の上方舞を学びました。彼女は14歳で芸者としての活動を始め、その後20歳まで大和屋で働き続けました。

1930年には青山二郎と結婚し、彼を通じて小林秀雄や永井龍男、中原中也といった文化人との交流が始まりました。翌年には上京し、料亭「灘万」の若女将としてキャリアを展開しました。藤間勘十郎や二世西川鯉三郎に師事しながら、東京における関西の上方舞の普及に尽力しました。

1934年、青山との離婚を経て、写経を高野山の柴田全乗に、俳句を高浜虚子に学び、彼女の俳号は「はん女」となります。その後、はん弥の名で新橋芸者としても活動を続けました。

1952年からは「舞の会」を定期的に開催し、数多くの舞踊を発表する一方で、1953年には赤坂新町に「はん居」を開店しました。これが後に六本木に移転し、彼女の舞踊活動にさらなる広がりをもたらしました。さらに1992年には「NHK古典芸能鑑賞会」で吾妻徳穂、藤間藤子と共演し、年齢を感じさせない力強い舞を披露しました。

人物

武原はんの舞踊スタイルは流派に縛られず、個人舞踊家として独自の道を歩み続けました。彼女は晩年、自らの技術を後世に伝えようと花柳寿々紫や神崎えんに薫陶を施しました。著名な俳人・高浜虚子からは俳句を学び、「はん女」という俳号を得ました。また、六本木の料亭「はん居」を長年にわたり経営し、多くの文化人との出会いが彼女の幅広い活動を支えました。

受賞歴

武原はんはその功績により、多くの受賞歴を持っています。1972年には菊池寛賞を受賞し、1975年には勲四等宝冠章、1980年にはNHK放送文化賞、1985年には日本芸術院会員に、1988年には文化功労者に選ばれました。彼女の舞踊は多くの人々に感動を与え続けました。

著書

武原はんは書籍の著者でもあり、代表作には『おはん』や『舞』などがあります。彼女はその活動を通じて、舞踊のみならず俳句や文章でも文化的貢献を果たしました。特に俳句集や舞踊に関する書籍は深い洞察を含んでいることから、後の舞踊家たちにも多大な影響を与えています。

終焉

1998年2月5日、武原はんは95歳で東京都港区六本木の自宅にて心臓麻痺により逝去しました。彼女の死後もその影響力は色あせることなく、特に養女であり孫にあたる武原幸江も個人舞踊家として活動を続けています。武原はんの確固たる姿勢と情熱は、今もなお多くの舞踊家たちの道しるべとなっています。

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