早野寿郎

早野 寿郎 (はやの としろう) の生涯と業績

早野寿郎は、1927年2月26日生まれで、1983年2月20日に逝去した日本の演出家、俳優、声優です。彼は劇団俳小を主宰し、早野演劇研究所を創設するなど、日本の演劇界において重要な役割を果たしました。特に、小劇場活動の先駆者として知られ、多くの若手俳優を育て上げ、その影響は今でも色濃く残っています。

生い立ち

早野は台湾で生まれ、幼少期は岐阜県大垣市で過ごしました。4歳からは沖縄で生活し、その後、旧制浦和高等学校を経て東京大学文学部仏文科に進学。しかし彼は大学を中退し、1949年に俳優座養成所を卒業。1953年には、小沢昭一とともに新人会を結成しました。このころから彼の創作活動が本格化していきます。

小劇場運動の先駆者として

1960年には、俳優小劇場を結成し、千田是也や田中千禾夫の影響を受けながら小劇場運動の基礎を築いていきます。彼は1967年には太宰治の「カチカチ山」やソポクレスの「オイディプス王」の演出により芸術祭奨励賞を受賞し、1971年には「新劇寄席」で紀伊国屋演劇賞とテアトロン賞も得ました。このように、早野は数々の賞を受賞し、日本の演劇界に貢献し続けました。

若手俳優の育成

早野は俳優育成にも情熱を注ぎ、多くの新人を短期間でデビューさせました。中でも、大竹しのぶや草刈正雄など、後に名前を知られることになる俳優たちが彼の指導を受けています。彼は「タレント促成栽培の名人」と称されるほど、若手俳優の発掘と育成に成功しました。

演劇活動と晩年

1974年には「俳小」を設立し、さらなる演劇活動を展開しました。1976年には「あの人は帰ってこなかった」の演出で芸術祭優秀賞を受賞。彼の仕事は多岐にわたり、TBSの今野勉からの依頼で杉良太郎や奈美悦子の育成も手がけました。1982年には腎臓を患い、人工透析を受けながらも活動を続けたものの、1983年に慢性腎不全および肝硬変により亡くなりました。彼の遺作となった「オルゴール病みて人形の目の導き」は、彼の情熱の結晶であり、彼が演劇界に残した影響の象徴です。

豊かなエピソードと人柄

早野は、愛称が「勘平」と呼ばれるほど、その名前からもわかるようにアプローチを続けていました。あるパーティでは、演劇評論家や元専属女優と楽しい会話を交わし、その夜の出来事が翌日の話題となることもありました。また、彼の指導を受けた生徒たちからは、常に優れた演技力を引き出す師として慕われていました。

早野寿郎の生涯は、演劇を愛し、演劇を通じて人々に感動を与え続けたものであり、日本の舞台芸術において、決して忘れてはいけない存在となっています。

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