本四連系線

本四連系線の概要

本四連系線（ほんしれんけいせん）は、岡山県に位置する中国電力ネットワークの東岡山変電所と香川県の四国電力送配電の讃岐変電所を接続する送電線です。このインフラは、両地域の電力供給の安定性を高める重要な役割を担っています。

歴史的背景

本州と四国の間の電力供給は、これまで中四幹線が行ってきました。この送電線は1962年に完成し、220kVの交流で30万kWの容量を持っていました。しかし、電力需要の急増により、新たな連系線設置の必要性が高まりました。1980年には新しい送電線の計画が決まり、さまざまな輸送方法を検討した結果、保守の容易さやコスト面から、本州四国連絡橋の一部である瀬戸大橋に送電線を添架することに決定されました。

1994年7月には、1回線の運用が開始され、この送電容量は1回線あたり120万kWでした。当初の計画からさらに電力需要に応じて、1996年には新たな回線の増設工事が開始され、2000年に2回線がそろって240万kWの供給能力を実現しました。さらには、2020年4月には電源開発から子会社の電源開発送変電ネットワークに管理が移行されています。

構造と特徴

本四連系線は全長127kmにおよび、架空電線路が105km、地中電線路が14km、そして橋梁添架電線路は8kmです。この送電線には259基の鉄塔が設置されており、交流500kVの高電圧で運用されています。送電容量は2回線の合計で240万kWとなっています。

送電線の添架位置は主に道路の下部に設置されているのですが、一部では鉄道の下部にも存在します。高圧の送電線が海上の長大橋梁に添架されるというのは世界的にも珍しいことです。そのため、特別に設計された構造や素材が使用され、ケーブルはたわみを持たせることにより、伸縮による均等な変位を実現しています。また、半合成絶縁紙など、先端技術を導入した耐振動設計が施されています。

運用とその影響

中国・四国地域は降水量が不安定であるため、春や夏の電力需要が高まる際に水力発電の安定供給が難しいという特性があります。このため、中国電力は四国や九州からの受電を行い、四国電力は本四連系線が完成する前は大規模な石油火力発電所を稼働させてピーク需要を賄ってきました。

1994年の伊方発電所3号機と本四連系線の運用開始以降、四国電力は高コストな石油火力発電所の運用を減少させ、中国電力との送電連携も始まりました。2000年には、電源開発の橘湾火力発電所と四国電力橘湾発電所に本四連系線が接続され、中国電力も石油火力発電所の稼働率を低下させつつ、新たに受電を行うようになりました。また、紀伊水道直流連系設備の完成により、四国電力から関西電力への電力供給も可能となりました。

本四連系線は、地域間の電力の有効活用や供給の安定性を向上させ、将来的なエネルギー政策にも貢献する通信機能を果たしているのです。本州と四国の架け橋として、今後ますます重要な役割を果たすことでしょう。

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