紀伊水道直流連系設備

紀伊水道直流連系設備

紀伊水道直流連系設備（きいすいどうちょくりゅうれんけいせつび）は、関西電力送配電と四国電力送配電、そして電源開発送変電ネットワークが共同で運用する電力供給設備です。この施設は、2000年6月22日に運用を開始し、主に本州と四国を結ぶ電力の安定供給を目的としています。

直流送電の採用

紀伊水道直流連系設備では、直流送電技術が採用されています。その背景には、いくつかの理由があります。両社の電源周波数は60Hzであるため、設備としては交流送電も可能ですが、本州と四国の間には東岡山変電所と讃岐変電所を介した本四連系線が存在します。交流送電では、電力系統にループが形成され、制御が難しくなる恐れがあります。これに対し、直流送電はループを形成せず、電力の制御が容易です。
さらに、直流送電は建設費を低減できる利点もあるため、この技術が選ばれました。

主要な施設

この連系設備には、いくつかの重要な変換所と開閉所があります。具体的には、次の施設があります。

紀北変換所

紀北変換所は和歌山県伊都郡かつらぎ町に位置し、変換容量は1,400,000kWです。緯度34度12分50秒、経度135度30分8秒に設置されています。

阿南変換所

徳島県阿南市にある阿南変換所も、同様に変換容量が1,400,000kWです。こちらの位置は、緯度33度49分40秒、経度134度38分12秒です。

由良開閉所

和歌山県日高郡由良町にある由良開閉所は、重要な制御拠点となっています。具体的な座標は、緯度33度58分37秒、経度135度5分21秒です。

阿南紀北直流幹線

紀伊水道直流連系設備の核心部分は阿南紀北直流幹線であり、紀北変換所と阿南変換所を結ぶ送電線です。この送電線は直流250,000V、双極構造で、定格2.8 kAの電力を送ることができます。送電容量は1,400,000kWですが、設計耐圧は500,000Vで、この電圧に昇圧することで送電容量は2,800,000kWに増加します。

この送電線は、架空線が50.9kmにわたり紀北変換所から由良開閉所まで延びており、地中線はで由良開閉所から阿南変換所まで48.9kmの範囲で、海底部は46.5km、陸上部が2.4kmとなっています。

結論

紀伊水道直流連系設備は、関西電力と四国電力が連携して運用する重要なインフラであり、電力供給の安定性や経済性を確保する役割を果たしています。この設備の存在により、両地域間の電力の流通が円滑になり、電力需給のバランスを保つことが可能になっています。今後の技術革新や運用の進展が期待されます。

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