本多忠憲

本多忠憲（ほんだ ただのり）は、安永3年（1774年）に生まれ、文政6年（1823年）に没した江戸時代後期の人物です。彼は有職故実家として、その名を知られています。

伊勢神戸藩主である本多忠永の六男として生まれた忠憲は、幼少の頃から学問に励み、和歌を柴山徳豊に、伊勢流武家故実を伊勢貞丈の孫である伊勢貞春に師事しました。伊勢流は、武家の礼式や作法を重んじる流派であり、忠憲はそこで深く知識を深めました。


彼は多くの著書を著し、武家故実に関する研究成果を後世に伝えました。主な著書としては、『上覧乗馬の記』、『差物考』、『兜之考』、『弓術流派』、『小鳥丸剣考』、『差縄』などがあります。これらの著作は、当時の武家社会における様々な事柄について詳細に解説したものであり、貴重な資料となっています。

また、伴直方、小山田与清、屋代弘賢など、当時の学者や文化人とも親交がありました。彼らとの交流を通じて、忠憲は自身の知識や見識をさらに深め、学問に対する情熱を燃やし続けました。

忠憲の門人である旗本の窪田清音は、忠憲から与えられた伊勢流の師範免許をもって、武家故実類書13冊を残しており、彼の教えが後世にまで影響を与えたことがわかります。

本多忠憲の墓所は、神戸藩本多家一族の墓所がある霊巌寺にあります。彼の墓は、今も静かに佇み、彼の業績を偲ぶ人々が訪れています。

以下は、本多忠憲の主な著作です。

『上覧乗馬の記』
『差物考』
『本多木鎧考』
『弓術流派』
『小鳥丸剣考』
『差縄』
『荏柄正宗之圖』文化元年（1804年）
『南轡鞍之圖』文化元年（1804年）
『武器着具原始』文化元年（1804年）
『海無鞍之図』文化元年（1804年）
『諸鞍日記考註補遺』文化2年（1805年）
『上杉謙信柄鐔之圖并唐鎧之圖』文化2年（1805年）
『挂甲之図』文化4年（1807年）
『信長公篭手之図』文化5年（1808年）
『縨・髪掻・籾』文化5年（1808年）
『塵泥』文政9年（1826年）
『火打袋考』天保３年（1832年）
『大小刀佩始考』天保7年（1836年）
『楯考』
『火打袋之図』
『源氏不掃塵』
『安齋著述書目全』
『馬甲馬面之圖』
『伊勢物目録』
『柏挟考』
『提灯考』
『踏鐙考』
『具都和図考』
『武具着具原始考』
『火打袋之図』

これらの著作からもわかるように、本多忠憲は武具や武家の礼式に関する深い知識を持っていました。彼の研究は、当時の社会や文化を理解する上で貴重な資料となっています。

本多忠憲は、江戸時代後期における有職故実研究の重要な担い手であり、その業績は今日においても高く評価されています。

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