本多忠正

本多忠正（生没年不詳）は、戦国時代の三河国（現在の愛知県東部）の武将です。彼は、江戸時代初期に活躍した本多正信の曽祖父にあたります。

生涯

本多忠正に関する記録は、『寛政重修諸家譜』に初めて見られます。それによると、彼は本多弥八郎正明（助持）の子として生まれ、松平清康（徳川家康の祖父）に仕え、三河国の「西城」に住んでいました。

年代は明らかではありませんが、信濃国の兵によって城が攻められた際、忠正は82歳で討死したとされています。この時、三男の本多助俊も父と共に戦死しました。

『藩翰譜』には、本多忠正の代に本多家が尾張国（現在の愛知県西部）から三河国へ移ったという記述があります。ただし、松平清康に仕えたのは、忠正の子である本多正定の代からとしています。

系譜

本多家は、藤原兼通の末裔を称しています。鎌倉時代の末頃、右馬允助秀が豊後国（現在の大分県）の本多に住んだことから、本多を名字としたと伝えられています。

系図によれば、助秀の子である本多助定は足利尊氏に仕え、尾張国の横根郷・粟飯原郷に所領を与えられました。実際に、建武4年（1337年）の足利尊氏下文の写しには、知多郡横根郷（現在の愛知県大府市横根町付近）と愛知郡粟飯原郷（現在の名古屋市緑区相原郷付近）が本多助定に恩賞として与えられたことが記されています。

系図では、助定の子が助政、助政の子に本多定政（定正）や本多定通がいるとされています。

『寛政譜』には、本多正信・正純家の系譜として、本多定政の子とされる本多定吉から記述が始まっています。定吉の孫が本多忠正であり、この家系で具体的な事績が記されているのは忠正からです。

一方、『寛政譜』の別の箇所には、本多広孝・康重家（信濃飯山藩主家）の系譜として、本多助政の子「本多定正」から記述が始まっています。その子である正吉から広孝らに繋がっています。

『寛政譜』の按文では、「本多定正」と「本多定政」を同一人物とし、本多正吉と本多定吉は兄弟であるとしていますが、それぞれの家譜に記載がないため、兄弟の順番は確定できないとしています。

子

『寛政譜』には、忠正の息子として以下の3人が記載されています。

長男：本多正定 - 弥八郎
二男：本多正行 - 弥七郎
* 三男：本多助俊 - 十三郎

三男の助俊は、上述の通り父と共に戦死しました。長男の正定と二男の正行も松平清康に仕え、尾張国の織田信秀が安城城を攻めた際（安城合戦）に援軍として派遣され、共に戦死しています。正定の子が俊正であり、俊正の子が本多正信となります。

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