本妙寺 (熊本市)

本妙寺の概要と歴史

本妙寺（ほんみょうじ）は、熊本市西区に位置し、熊本城の北西にある日蓮宗の寺院であり、特に六条門流の大本山本圀寺から「九州総導師」の寺格を受けています。寺院の山号は「発星山」で、本尊には十界曼荼羅が奉られています。また、肥後熊本藩初代藩主である加藤清正を祀る浄池廟が境内に存在し、信者にとって重要な場所となっています。

境内の入り口には、1920年（大正9年）に小林徳一郎の寄進で建立された仁王門があります。この巨大な門は鉄筋コンクリート製で、国の登録有形文化財に指定されているものです。仁王門をくぐると、両側には12の塔頭が並んでおり、桜の並木道が続いています。

参道を進むと、右手に本妙寺の大本堂である勅願道場が見え、その先には「胸突雁木」と呼ばれる176段の急な石段があります。この石段の中央には、多くの石灯籠が並設されています。石段を登りきると浄池廟に到達し、さらに境内には加藤清正や細川家に関連する文書や工芸品、鎧兜など、国の重要文化財を含む約1400点の展示がある宝物館があります。

過去には多くの参拝客が本妙寺に宿泊していた時代もありましたが、現在では浄池廟の手前に1軒の古い旅籠が残るのみです。浄池廟の裏手には300段の石段があり、これを登ると清正像が立っています。この位置からは熊本市全体の景観を楽しむことができます。

毎年7月24日の前夜には、清正の命日を記念して僧侶や信者が写経した法華経を奉納する「頓写会」が開催され、多くの参拝者で賑わいます。この行事は、清正の一周忌に日遥が法華経を一夜で写経したことに由来しています。

本妙寺の歴史

本妙寺の由来は1585年（天正13年）に遡ります。当初は大阪に日真を開山として設立されました。加藤清正が熊本城主となった後、1600年（慶長5年）に現地に移転し、1611年に清正が亡くなった際には浄池廟に彼の像が奉安されました。その後、1614年に火災により本妙寺は焼失し、浄池廟の下に現在の場所に移転されます。

明治時代に入ると、神仏分離令により、本妙寺と浄池廟は分かれ、1871年に加藤神社と名称を変え、現在の位置に落ち着く形となりました。また、西南戦争の際には、大本堂と浄池廟の両方が焼失し、明治27年に現在の形に再建されました。

ハンセン病と本妙寺

本妙寺の参道では、かつてハンセン病の患者たちが多く見られ、参拝者に喜捨を求めていました。この習慣は江戸時代に始まったと考えられており、1871年には明確に文書に記載されるようになりました。西南戦争で一部が焼失した後、患者たちは再び集まり、近隣で自活していました。

その後、1940年7月9日には本妙寺事件が発生し、患者が強制収容されることになりました。これは戦争準備や当時の運動の一環とされています。収容後、患者は草津楽泉園に移送され、記録によれば、当時の状況は非常に困難でした。

強制収容が行われた後も、終戦までの間、時折参道に患者たちが現れることがありました。このように本妙寺は、歴史的には多くの人々に影響を与えた場所であり、文化財としてもさまざまな重要な遺物を保持しています。

文化財

本妙寺は多くの重要文化財を有しています。特に短刀や蒔絵調度類は国指定の重要文化財であり、寺院の歴史を物語る貴重な資料です。仁王門は2016年の熊本地震で被災し、修復が行われています。

アクセス

本妙寺へのアクセスは、熊本市電の「本妙寺入口電停」から徒歩で約400m、または熊本桜町バスターミナルから路線バスを利用することも可能です。自動車の場合、九州自動車道の熊本ICから約10㎞の距離にあります。駐車場も整備されています。

本妙寺は、文化的な価値と平和への願いを持つ場所として、今後も多くの人々に親しまれ続けることでしょう。

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