本朝続文粋

『本朝続文粋』について

『本朝続文粋』は、平安時代の詩文集であり、既存の『本朝文粋』の続編として編纂されました。この作品は、後一条朝から崇徳朝にかけての詩文を収めており、全体で13巻、27種類の作品が含まれています。特に、後に述べるような新しいジャンルも収録されている点が特徴的です。

構成と特徴

本作は合計233の作品からなりますが、前作の『本朝文粋』に収められた432の作品数と比較すると、ジャンルおよび作品数はかなり少なくなっています。ただし、4つの未収録ジャンル、具体的には勘文、施入状、都状、定文が追加されているため、文献的な価値は依然として高いと言えます。また、和歌の序に関しては『本朝文粋』の11作品に対し、18作品が新たに追加されています。

ジャンルの配置は『本朝文粋』を参考にしていますが、序の数が1巻分少なくなっているため、総巻数は13巻となっています。なお、松下見林の研究によると、別の資料に『続文粋巻十三抄出』という記載があることから、実際には14巻存在する可能性も指摘されています。

編纂者と成立時期

『本朝続文粋』の編纂者は未だに不明ですが、著者別の収録数を見ると、藤原式家出身の藤原明衡や藤原敦光、藤原敦基などの作品が多数を占めており、編者がこの家系に関わりがあるのではないかとも考えられています。ただし、これを証明するための具体的な証拠は存在しないため、謎のままとなっています。

成立年代については、藤原忠実を「知足院禅定大相国」と記載していることから、保元元年以降であることしか推測できません。江戸時代には、藤原南家の藤原季綱が編者ではないかとする説が有力でしたが、その場合には多くの新しい作品が追加されたことから、この説も否定されています。

古写本と流布

本作の古写本としては、文永9年に北条実時が書写を依頼した「金沢文庫旧蔵の巻子本」が唯一知られています。この写本は後に徳川家康が入手し、重要文化財として伝わってきました。現在、『新訂増補国史大系』や国書刊行会本などの現行版は、この写本を底本としており、文献研究において重要な役割を果たしています。

まとめ

『本朝続文粋』は、平安時代の詩文集として貴重な資料で、特に新たなジャンルの追加や構成の工夫が見られる点が高く評価されています。失伝した巻が存在する可能性や、編者についての諸説があるものの、文献としての価値は依然高く、研究においても多岐にわたって引用され続けています。

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