本朝麗藻

本朝麗藻（ほんちょうれいそう）

『本朝麗藻』は、平安時代中期に成立した漢詩集で、高階積善が撰者として名を連ねています。この作品は、一条朝の末期、具体的には寛弘7年（1010年）頃に成立したと考えられています。全体は2巻から構成されており、上巻と下巻でそれぞれ異なるテーマが扱われています。

上巻は、春・夏・秋・冬の四季に分けられた部門で構成されています。下巻はさらに詳細に分かれ、山水、仏事、神祇、山荘、閑居、帝徳、法令、書籍（付勤学）、賢人、讃徳、詩、酒、贈答、餞送、懐旧、述懐の16部が存在します。そのため、この詩集は内容の多様性に富んでおり、特定のテーマに特化した作品が多く見受けられます。

なお、現存する本の中では、上巻の序章部分が欠けており、完全な形ではなくなっています。また、この作品には六朝風の影響が強く見られ、特に七言詩の割合が非常に高いことが特徴とされています。

作品には、当時の著名な詩人たちの作品が数多く収められており、一条天皇や具平親王をはじめ、藤原道長、藤原伊周、藤原公任などの大臣たちが名を連ねています。特に寛弘期に活躍した詩人36名の詩が収録されており、その数は150首以上に及び、漢詩と詩序が含まれています。作詩年代の上限は円融朝まで遡ることができ、その中でも具平親王の作品が別格扱いされています。また、藤原伊周と大江以言の作品が多く見られることも興味深い点です。

この詩集は『群書類従・文筆部』にも収められており、歴史的にも重要な文化資産となっています。『本朝麗藻』の重要性は文献学的にも大きく、今浜通隆による『本朝麗藻全注釈』や川口久雄・本朝麗藻を読む会編の『本朝麗藻簡注』、柳沢良一の『本朝麗藻総索引』など、関連する文献が数多く存在します。これらの文献は作品の理解を深めるための貴重な資料として位置付けられています。さらに、大曾根章介・佐伯雅子によるつくりの『校本本朝麗藻』も、学習・研究の上で役立つ参考資料です。

『本朝麗藻』は、日本の中古文学史を考える上で欠かせない作品であり、当時の詩の流行や文化に対する理解を深めるための貴重な資料であると言えるでしょう。

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