本格推理 (光文社文庫)

本格推理、新・本格推理とは

『本格推理』および『新・本格推理』は、光文社文庫から刊行されていた推理小説の公募アンソロジーです。1993年から2009年まで、鮎川哲也、二階堂黎人といった著名な推理作家が編者を務め、「文庫の雑誌」という形式で、新人作家の登竜門として人気を博しました。

概要

本格推理とは、論理的な謎解きを重視する推理小説の一つのジャンルです。鮎川哲也が編者を務めた『本格推理』は全15巻、二階堂黎人が編者を務めた『新・本格推理』は全9巻が刊行されました。また、別冊として『本格推理マガジン』も全5巻刊行されています。

本格推理

1992年に開始された『本格推理』は、当時まだ少なかった本格推理の短編作品を募集する企画として注目を集めました。鮎川哲也が全ての応募作に目を通し、最大で30編以上の作品が文庫本に収録されるという、新人にとってはまたとない発表の機会となりました。

新・本格推理

2001年からは、二階堂黎人が編者となり『新・本格推理』が刊行されました。規定枚数が原稿用紙100枚以内に変更され、第5回募集からは評論も受け付けるなど、新たな試みも行われました。
2009年には、シリーズを総括する『新・本格推理 特別編 不可能犯罪の饗宴』が刊行され、シリーズの歴史に幕を閉じました。

本格推理マガジン

『本格推理』に掲載された作家の2作目以降の発表の場として企画された『本格推理マガジン』は、後に過去の埋もれた作品を再録する形式へと変化しました。

新人賞との連携と輩出作家

『本格推理』出身の作家の中には、鮎川哲也賞やミステリーズ!新人賞といった推理小説の新人賞を受賞する者も現れました。また、メフィスト賞、江戸川乱歩賞、横溝正史ミステリ大賞など、様々な賞の受賞者を輩出しています。

主な輩出作家

北森鴻
霧舎巧
黒田研二
鏑木蓮
蘇部健一
七河迦南
三津田信三
石持浅海
東川篤哉

刊行リスト

本格推理

本格推理1 新しい挑戦者たち（1993年4月20日）
本格推理2 奇想の冒険者たち（1993年10月20日）
本格推理3 迷宮の殺人者たち（1994年4月20日）
本格推理4 殺意を継ぐ者たち（1994年8月20日）
本格推理5 犯罪の奇術師たち（1994年11月20日）
本格推理6 悪意の天使たち（1995年5月20日）
本格推理7 異端の建築家たち（1996年5月20日）
本格推理8 悪夢の創造者たち（1996年9月20日）
本格推理9 死角を旅する者たち（1996年12月20日）
本格推理10 独創の殺人鬼たち（1997年7月20日）
本格推理11 奇跡を蒐める者たち（1997年11月20日）
本格推理12 盤上の散歩者たち（1998年7月20日）
本格推理13 幻影の設計者たち（1998年11月20日）
本格推理14 密室の数学者たち（1999年6月20日）
本格推理15 さらなる挑戦者たち（1999年11月20日）

新・本格推理

新・本格推理01 モルグ街の住人たち（2001年3月20日）
新・本格推理02 黄色い部屋の殺人者（2002年3月20日）
新・本格推理03 りら荘の相続人（2003年3月20日）
新・本格推理04 赤い館の怪人物（2004年3月20日）
新・本格推理05 九つの署名（2005年3月20日）
新・本格推理06 不完全殺人事件（2006年3月20日）
新・本格推理07 Qの悲劇（2007年3月20日）
新・本格推理08 消えた殺人者（2008年3月20日）
新・本格推理 特別編 不可能犯罪の饗宴（2009年3月20日）

本格推理マガジン

孤島の殺人鬼 本格推理マガジン（1995年12月20日）
硝子の家 本格推理マガジン（1997年3月20日）
鯉沼家の悲劇 本格推理マガジン（1998年3月20日）
絢爛たる殺人 本格推理マガジン（2000年10月20日）
少年探偵王 本格推理マガジン（2002年4月20日）

関連情報

鮎川哲也賞: 「本格推理」開始以前から存在した、長編本格推理小説の新人賞。
KAPPA-ONE登龍門: 光文社の新人発掘企画。「本格推理」出身者からデビューした作家もいる。

『本格推理』と『新・本格推理』は、日本の推理小説界に多くの才能を輩出した、重要なアンソロジーシリーズとして、その名を刻んでいます。

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