霧舎巧

霧舎巧：ミステリー界の異才

霧舎巧（きりしゃ たくみ）は、1963年生まれの日本の小説家、推理作家です。その独特なペンネームは、著名な推理作家である島田荘司によって名付けられました。

生い立ちと経歴

神奈川県横浜市で生まれた霧舎巧は、駒澤大学を卒業しています。大学時代は駒澤大学推理小説研究会に所属し、早くからミステリーの世界に足を踏み入れました。中学生の頃から怪談に興味を持ち、作家の都筑道夫に私淑していたことも、その後の作風に大きな影響を与えています。

デビューと初期の活動

1997年、霧舎巧は砂能七行（さのう ななゆき）という別名義で、鮎川哲也が編集長を務める公募短編アンソロジー『本格推理10 独創の殺人鬼たち』に「手首を持ち歩く男」を投稿し、掲載されました。その後も、1998年に『本格推理13 幻影の設計者たち』に「紫陽花物語」が採用されるなど、着実に実績を重ねていきます。

そして1999年、霧舎巧は『ドッペルゲンガー宮《あかずの扉》研究会流氷館へ』（投稿時のタイトルは『十人そろったら《あかずの扉》研究会最初の事件』）で第12回メフィスト賞を受賞し、華々しいデビューを飾りました。デビューに際しては島田荘司の推薦を受け、そのユニークな筆名も島田荘司による命名であることが、彼の才能を物語っています。

作品の特徴と魅力

霧舎巧の作品は、奇抜な設定と、ロジックに基づいた本格ミステリーの要素が見事に融合している点が特徴です。特に、《あかずの扉》研究会シリーズは、その独特な世界観と魅力的なキャラクターで多くのファンを魅了しています。

また、私立霧舎学園ミステリ白書シリーズは、学園を舞台にした日常の謎を扱っており、ユーモアとミステリーが絶妙なバランスで描かれています。

主な作品リスト

《あかずの扉》研究会シリーズ
ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ（1999年）
カレイドスコープ島 《あかずの扉》研究会竹取島へ（2000年）
ラグナロク洞 《あかずの扉》研究会影郎沼へ（2000年）
マリオネット園 《あかずの扉》研究会首吊塔へ（2001年）
私立霧舎学園ミステリ白書シリーズ
四月は霧の00（ラブラブ）密室（2002年）
五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し（2002年）
六月はイニシャルトークDE連続誘拐（2002年）
七月は織姫と彦星の交換殺人（2003年）
八月は一夜限りの心霊探偵（2003年）
九月は謎×謎修学旅行で暗号解読（2005年）
十月は二人三脚の消去法推理（2007年）
十一月は天使が舞い降りた見立て殺人（2009年）
十二月は聖なる夜の予告殺人（2009年）
一月は合格祈願×恋愛成就＝日常の謎（2013年）
その他
名探偵はもういない（2002年）
霧舎巧傑作短編集（2004年）
名探偵はどこにいる（2006年）
推理は一日二時間まで (2016年)

新本格もどきシリーズ

都筑道夫の「名探偵もどき」を下敷きにした、新本格作品に登場する名探偵になりきって事件を解決するという趣向の作品群です。

新本格もどき（2007年）
新・新本格もどき（2010年）

アンソロジー

気分は名探偵（2006年）「十五分間の出来事」
0番目の事件簿（2012年）「都筑道夫を読んだ男」

参考文献

『ダ・ヴィンチ』第23巻第6号、KADOKAWA、2016年6月。

外部リンク

霧舎巧｜日本推理作家協会
著書 | 国立国会図書館

霧舎巧は、その独特な世界観と、本格ミステリーとしての完成度の高さで、これからも多くの読者を魅了し続けることでしょう。

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