本清院

本清院（ほんせいいん）は、万治2年5月17日（1659年7月6日）に生まれ、享保17年4月22日（1732年5月16日）に没した江戸時代前期の女性です。水戸藩第3代藩主・徳川綱條（とくがわ つなえだ）の御簾中（みれんじゅう）として知られています。御簾中とは、大名や将軍の正室を指す言葉です。

通称は季姫（すえひめ）、諡（おくりな）は荘恵夫人（しょうけいふじん）です。父は左大臣・今出川公規（いまでがわ きんのり）であり、公家の出身でした。母は京極高和（きょうごく たかかず）の娘です。

延宝6年（1678年）、季姫は20歳の時に京都から江戸へ下り、徳川綱條に嫁ぎました。しかし、綱條との間に実子を授かることはありませんでした。妹の益姫（ますひめ）を綱條の養女としています。益姫は後に高松藩主・松平頼重の孫である松平頼豊に嫁ぎました。

享保3年（1718年）に綱條が亡くなると、季姫は落飾（らくしょく）し、本清院と号しました。落飾とは、髪を剃り仏門に入ることを意味します。

季姫は篤い法華信者（ほけしんじゃ）であり、信仰心の厚い女性でした。その信仰から、池上本門寺（いけがみほんもんじ）に経蔵（きょうぞう）や鬼子母神堂（きしもじんどう）を寄進しています。池上本門寺は、日蓮宗（にちれんしゅう）の寺院であり、日蓮聖人が入滅した霊跡として知られています。

享保17年4月22日（1732年5月16日）、本清院は江戸小石川（現在の東京都文京区）にあった水戸藩邸にて74歳で亡くなりました。

本清院は、公家の出身でありながら水戸藩主の正室として、また篤い信仰心を持つ女性として、江戸時代前期を生きた人物です。彼女が寄進した池上本門寺の経蔵や鬼子母神堂は、現在もその面影を残しており、彼女の信仰心の深さを物語っています。

彼女の生涯は、当時の女性の生き方や信仰のあり方を考える上で、貴重な資料となります。特に、大名家の女性がどのような役割を担っていたのか、また信仰が人々の生活にどのように根付いていたのかを知る上で、重要な手がかりとなるでしょう。

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