本田威志

本田 威志

1937年8月20日、愛知県岡崎市に生まれた本田威志（ほんだ たけし）氏は、プロ野球選手として、また引退後は球団の要職を歴任し、長年にわたり日本のプロ野球界に貢献しました。特に中日ドラゴンズにおいては、選手引退後、マネージャーやスカウトとしてチームを支え続け、「本マネ」の愛称で親しまれました。長男はプロ野球審判員の本田英志氏です。

アマチュア時代

愛知県立岡崎高等学校に進学した本田氏は、遊撃手として活躍しました。2年生だった1954年には、春の選抜高等学校野球大会にチームが出場。しかし、惜しくも1回戦で鳴門高校に敗れました。同年春の東海地区大会では決勝に進出し、1年上のエース河井学投手（後に毎日オリオンズ入団）らの活躍により優勝を果たしました。夏の甲子園を目指した県予選では、同年、翌年ともに準決勝で敗退。高校時代のチームメイトには、河井投手や、後に毎日オリオンズで活躍する杉浦四郎投手らがいました。

高校卒業後、中央大学に進学。東都大学野球リーグに所属した硬式野球部では、二塁手としてチームを牽引しました。1958年春季リーグ戦では、大学として5年ぶりとなるリーグ優勝に貢献。同年開催された全日本大学野球選手権大会では決勝に進出しましたが、立教大学に惜敗し準優勝となりました。大学時代の通算成績は、75試合に出場し、273打数76安打、打率.278、本塁打は0本でしたが、32打点を記録。二塁手としてベストナインにも1回選出されています。大学には、1年上に桑田武氏、森田斌氏（後に大洋でチームメイト）、同期には小栗秀夫氏、若生照元氏の両エースや、後に広島カープでプレーする西山弘二氏らがいました。

プロ野球選手として

中央大学卒業後、1960年に大洋ホエールズ（現在の横浜DeNAベイスターズ）に入団しました。背番号は51でした。プロ入り1年目には内野手として3試合に先発出場しましたが、同期入団の近藤昭仁氏が二塁手の定位置を掴むなど、選手として多くの出場機会を得るには至りませんでした。1962年には中日ドラゴンズに移籍。背番号は56に変更となりました。中日でも出場機会は限られ、1964年シーズン限りで現役を引退しました。

引退後の貢献

選手としてのキャリアを終えた後、本田氏は中日ドラゴンズの裏方として球団に留まり、長年にわたりその運営を支えました。1965年からは二軍マネージャーを務め、1970年からは一軍マネージャーに就任。1988年までの19年間にわたり、チームのマネジメントを担いました。このマネージャー時代には、その人柄からチーム関係者の間で「本マネ」という愛称で親しまれたと言われています。

その後はスカウトに転身。1989年からスカウトとして、将来のドラゴンズを担う選手の獲得に尽力しました。1995年にはスカウト部長に昇格し、2003年まで部長として手腕を発揮しました。2004年からはスカウト部長付顧問を務め、2005年まで球団に貢献しました。長年のスカウト活動で多くの選手を発掘・育成に繋げ、中日ドラゴンズの強化に重要な役割を果たしました。中田宗男氏にスカウト部長の座を譲った後に、球団を退いています。

晩年と死去

2010年7月27日、脳梗塞のため、愛知県豊田市内の病院にて72歳で逝去されました。選手としては目立った成績を残すことはできませんでしたが、引退後、約40年にもわたってマネージャーやスカウトとして中日ドラゴンズを支え続けた功績は、球団の歴史において重要なものとして記憶されています。

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