本石倉駅

本石倉駅

本石倉駅（ほんいしくらえき）は、北海道茅部郡森町石倉町にかつて存在した、北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線の駅でした。電報略号はホイ、駅番号はH59が付与されていましたが、残念ながら2022年（令和4年）3月12日をもって旅客扱いを終了し、廃駅となりました。

歴史

この地域に駅の設置が構想されたのは、昭和の初期にまでさかのぼります。1928年（昭和3年）頃には、下濁川（現在の石倉町）や周辺の住民が、現在の石倉駅より南方に駅の新設を請願しました。しかし、隣接する蛯谷地区からの請願（後に石谷駅となる）と競合したため、この時点での駅設置は実現しませんでした。翌年には、鉄道省（当時）によって蛯谷地区に信号場が設置されることが決定し、濁川地区の住民は落胆しましたが、その後は蛯谷地区と連携して信号場の駅昇格を目指す方針に転換しました。それでも下濁川地区への駅設置を求める声は続き、1933年（昭和8年）以降も複数回にわたり請願が行われました。

駅設置が大きく動いたのは、太平洋戦争中のことです。戦時下の輸送力増強という要請を受け、1944年（昭和19年）9月10日に国有鉄道函館本線の本石倉信号場として開設されました。この開設当初の信号場は、現在国道5号となっている場所に線路が敷かれていました。

戦後、信号場は一度廃止され、1948年（昭和23年）7月1日には本石倉仮乗降場（局設定）となりました。この時点では、少なくとも旅客の取り扱いが行われていたことが確認されています。日本国有鉄道法が施行された1949年（昭和24年）6月1日には、日本国有鉄道（国鉄）に引き継がれました。

その後、1964年（昭和39年）9月29日には再び本石倉信号場に戻されました。この時期に旅客扱いがあったかどうかは明確ではありませんが、信号場末期の1973年（昭和48年）に発行された資料には、乗降扱いがある信号場であるとの記述が見られます。

1973年（昭和48年）12月11日、石谷駅と石倉駅間の複線化工事に伴い、信号場としての役割を終え廃止されました。しかし、この区間は新たに線路が建設されたため、新線上に移設される形で本石倉仮乗降場として乗降扱いのみが継続されました。

そして、国鉄分割民営化が実施された1987年（昭和62年）4月1日、北海道旅客鉄道（JR北海道）に継承されるとともに、正式な旅客駅である本石倉駅へと昇格しました。1990年（平成2年）3月10日には営業キロが設定され、2007年（平成19年）10月1日からは駅ナンバリングが導入され「H59」が付与されました。

近年は少子高齢化などによる利用者の減少が進み、2021年（令和3年）9月には翌年のダイヤ改正での廃止が検討されていると報じられました。そして、その報道の通り、利用者の減少を主な理由として、2022年（令和4年）3月12日のダイヤ改正をもって、隣接する石谷駅と共に廃止され、90年近い歴史に幕を閉じました。

駅構造

本石倉駅は、相対式ホーム2面2線を持つ地上駅でした。駅舎はなく、ホーム上に小さな待合所が設置されているのみの、シンプルな構造です。ホーム自体も鉄筋にコンクリートパネルを敷いた簡易な造りでした。営業最終日まで森駅によって管理される無人駅でした。

利用状況

旅客営業が行われていた期間の乗車人員は、時間の経過とともに減少傾向にありました。これが、最終的に駅が廃止される大きな要因の一つとなりました。

駅周辺

駅周辺には、主要幹線道路である国道5号が通っています。その他、森警察署石谷駐在所や石倉郵便局、森町立石倉小学校といった施設が点在していました。また、近隣には函館バスの「本石倉」停留所があり、公共交通機関への接続も可能でした。

隣の駅

JR北海道 函館本線

石谷駅 (H60) - 本石倉駅 (H59) - 石倉駅 (H58)

（※駅は全て廃止時点）

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