本郷かまと

本郷かまと - 幻の長寿世界一

本郷かまと（ほんごう かまと、1887年9月16日?（または1888年-1893年頃4月8日の可能性あり） - 2003年10月31日）は、かつてギネス世界記録に認定されていた世界最高齢の日本人女性です。鹿児島県徳之島出身で、その長寿と愛らしいキャラクターで多くの人々に親しまれました。しかし、年齢に関する異論が唱えられ、2012年に世界記録の認定は取り消されました。

生涯

本郷かまとは、鹿児島県大島郡徳之島面縄方（現在の伊仙町）で生まれました。戸籍上は1887年9月16日生まれとされていますが、ひ孫の証言によると実際の誕生日は4月8日であるとされています。1908年に本郷福佑と結婚し、7人の子供をもうけました。その後、曾孫、玄孫にも恵まれました。

110歳の頃に転倒により腰椎を骨折し、寝たきりになりましたが、それまでは健脚で、同居していた娘よりも足取りがしっかりしていたと言われています。足腰や耳は衰えていたものの、内臓は丈夫で、睡眠中でも食事を摂ることが出来るほどの嚥下力を持っていました。趣味は踊りで、機嫌の良い時には度々披露し、足腰を悪くしてからは手踊りという形で踊り続けました。

1999年4月29日に茨城県在住の石崎伝蔵が死去したことにより、本郷かまとは日本最長寿となりました。晩年は、その長寿ぶりや愛らしいキャラクターからニュースやテレビ番組に度々取り上げられ、多くの人々に親しまれました。長寿にあやかろうと、全国各地から鹿児島市内の彼女のもとを訪れる人が大勢いました。2002年には、故郷の伊仙町の名誉町民に選ばれました。かつて日本人最長寿とされた泉重千代も同じ伊仙町出身です。当時、中願寺雄吉が世界最高齢の男性であり、男女ともに日本人が長寿世界一に認定されたことが話題となりました。

2003年10月31日午後5時過ぎ、肺炎のため鹿児島市内で死去しました。満116歳と45日とされていました。眠りの周期に入ったまま、二度と起きることはありませんでした。本郷かまとの死去に伴い、国内最高齢は広島県広島市在住の川手ミトヨ（当時114歳）と認定されました。

メディアでの活躍

本郷かまとの存在が日本中に知れ渡るきっかけとなったのは、日本テレビ系の人気番組「ザ!世界仰天ニュース」でした。番組開始当初から「本郷かまと」のコーナーが設けられ、彼女の日常が度々紹介されました。初登場は2002年3月11日。その時は「日本最高齢の方」として予告編に登場し、翌週の3月18日に詳細が放送される予定でした。しかし、放送日当日、当時最高齢だったモード・ファリス＝ルーズが死去したため、放送日に本郷かまとは日本最高齢から世界最高齢となったことが伝えられました。

年齢に関する異論

しかし、本郷かまとの年齢には異論が存在しました。ギネスブックは、2012年9月13日に世界記録の認定を取り消しました。アメリカの老人学研究団体であるジェロントロジー・リサーチ・グループでは、人口統計学者ミシェル・プーランの説を紹介し、本郷かまとの実年齢は戸籍よりも3年から6年若いと指摘しています。

プーランによると、本郷かまとの実家である木村家の戸籍では、彼女よりも後に生まれたはずの弟（1890年生）の方が先に記載されています。また、彼女の姉が1887年2月9日生まれであることから、戸籍を信じると母親は同じ年に二度出産したことになってしまいます。さらに、本郷かまとの長女が1909年生まれ、四男が1933年生まれであることを考えると、戸籍上の年齢で逆算すると、22歳で長女を、45歳で四男を出産したことになってしまいます。もし1893年生まれであったと仮定すると、長女出産時に16歳、四男出産時には39歳となり、死亡時には110歳となり、より自然な年齢であるとプーランは主張しています。

本郷かまとの正確な年齢は今もって不明ですが、彼女が長きにわたり多くの人々に愛され、感動を与えたことは紛れもない事実です。

もう一度検索