本郷恵子

本郷恵子氏は、1960年11月生まれの日本の歴史学者で、特に日本中世史を専門としています。東京大学史料編纂所の教授であり、2021年からは同所の所長も務めています。

彼女は東京都で生まれ、1979年に雙葉高等学校を卒業後、1984年に東京大学文学部国史学科を卒業しました。その後、1987年には東京大学大学院人文科学研究科博士課程を単位取得退学し、1999年に『中世公家政権の研究』で博士（文学）の学位を取得しています。東京大学史料編纂所では、助教授、准教授を経て、2011年に教授に就任しました。

本郷氏の研究は、中世の公家政権、経済、文化など多岐にわたります。彼女の著書には、『中世公家政権の研究』、『中世人の経済感覚 「お買い物」からさぐる』、『日本の歴史・院政から鎌倉時代 京・鎌倉ふたつの王権』などがあり、中世史を専門とする研究者だけでなく、一般読者にも広く読まれています。

特に、『中世人の経済感覚 「お買い物」からさぐる』では、中世の人々の経済活動を「買い物」という視点から捉え、当時の社会や文化を考察しています。また、『将軍権力の発見』や『室町将軍の権力』では、鎌倉幕府と室町幕府の権力構造の違いを分析し、中世の政治史における将軍の役割を明らかにしようとしています。

さらに、『院政 天皇と上皇の日本史』では、院政期における天皇と上皇の関係に着目し、この時代の政治史を考察しています。

また、本郷氏は、首相の私的諮問機関である「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」にも参加し、退位後の称号について「上皇」とすることを提言しました。

本郷恵子氏の学術的な貢献は非常に大きく、彼女の著書や論文は、中世史の研究において重要な資料となっています。また、彼女の著作は、一般読者にとっても中世史を学ぶ上で非常に分かりやすく、興味深い内容となっています。

本郷氏の夫である本郷和人氏も同じく中世史の研究者であり、夫婦で日本史の研究に携わっています。

主な著書には以下のようなものがあります。

『中世公家政権の研究』（東京大学出版会、1998年）
『中世人の経済感覚 「お買い物」からさぐる』（日本放送出版協会、2004年／角川ソフィア文庫、2013年）
『日本の歴史・院政から鎌倉時代 京・鎌倉ふたつの王権』（小学館、2008年）
『古今著聞集（物語の舞台を歩く）』（山川出版社、2010年）
『将軍権力の発見（選書日本中世史3）』（講談社選書メチエ、2010年）／『室町将軍の権力　鎌倉幕府にはできなかったこと』（朝日文庫、2020年）
『蕩尽する中世』（新潮選書、2012年）
『怪しいものたちの中世』（角川選書、2015年）
『院政 天皇と上皇の日本史』（講談社現代新書、2019年）

彼女の研究は、中世という時代を多角的に捉え、その社会や文化、政治の実態を解き明かす上で、大きな貢献を果たしています。

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