本郷秀雄

本郷秀雄：華麗なる昭和の俳優人生

本郷秀雄（ほんごうひでお、1916年12月29日-1987年6月22日）は、日本の俳優として昭和時代を彩った名優の一人です。本名は吉田秀夫（よしだひでお）。東京府東京市本郷区（現在の東京都文京区本郷）で、英文学者の父と母、兄弟姉妹のいる家庭に生まれました。

旧制・誠之小学校、東京開成中学校（現在の開成高等学校）と進学し、将来は脚本家・演出家を目指して、1934年2月、松竹蒲田撮影所に入社。助監督として映画制作に携わります。しかし、同年中に俳優へ転向。1935年公開の『二人静』が俳優デビューとされていますが、実際には同年正月映画の『大学の若旦那・日本晴れ』に端役で出演していました。

同年、佐々木康監督の『舞姫の暦』で主演を務め、共演の水島光代と「夢心コンビ」として人気を博しました。その後、松竹大船撮影所、松竹下加茂撮影所と移籍。下加茂撮影所では時代劇、剣戟俳優として活躍の場を広げます。1936年には、同じく松竹下加茂撮影所に移籍していた女優の光川京子と結婚。

1939年からは助演が多くなりますが、1940年公開の『銭形平次捕物控 南蛮秘法箋』を最後に、光川京子と共に大都映画に移籍。再び主演として活躍するも、1942年、大都映画が戦時統合により大映に合併。大映京都撮影所で活動を続けます。資料によっては、この頃に本郷秀雄一座を結成して舞台活動を行っていたとされていますが、大映での活動記録からは、1943年4月以降の出演が見当たりません。

第二次世界大戦後、フリーランスとして映画界に復帰。1947年公開の『花ある星座』でスクリーンに帰ってきました。その後、第一協団に所属し、二枚目俳優としてのイメージを残しつつ、喜劇映画にも多く出演。1954年から始まる『チャッカリ夫人とウッカリ夫人』シリーズにもレギュラー出演し、幅広い役柄をこなしました。

戦後の次郎長もの映画にも多く出演し、『次郎長遊侠傳 秋葉の火祭り』（1955年）では増川仙右衛門、『次郎長意外伝』シリーズ（1957年～）では追分の三五郎を演じ、時代劇スターとしての地位を不動のものにしました。

1970年代以降は、テレビドラマや舞台への出演が中心となり、1975年には八代目坂東三津五郎の急逝に伴い、南座公演中だった『お吟さま』で、急遽三津五郎の代役として豊臣秀吉を演じるなど、俳優としてのプロ意識の高さを示しました。晩年は大阪市大淀区で過ごしました。1987年6月22日、肺がんのため70歳で亡くなりました。

本郷秀雄は、松竹、大都映画、大映、そしてフリーランスとして数多くの作品に出演し、時代劇から喜劇まで幅広い演技力で観客を魅了しました。その活躍は、数々の映画史料やデータベースにも記録されており、昭和時代の日本映画を代表する俳優の一人として、後世にその名を残しています。彼のフィルモグラフィーは非常に長く、多様な作品への出演が確認できます。本郷秀雄のキャリアは、まさに昭和時代の映画界の激動と発展を映し出す鏡と言えるでしょう。

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