本願

本願とは

本願（ほんがん）とは、仏教において仏や菩薩が過去に立てた誓願を指します。この概念は「宿願（しゅくがん）」とも呼ばれ、菩薩として修行を行う過程で制定されたものであり、例えば阿弥陀仏は法蔵菩薩としての修行中に立てた誓願が本願として知られています。

本願の語源

本願という言葉の語源について考えると、「プールヴァ（pūrva）」は「以前の」「過去の」という意味があり、「プラニダーナ（praṇidhāna）」は「誓願」を意味します。したがって、本願は過去における誓いを指す言葉として成立しています。
原始経典においては「天国に生まれることを希願する」といった読み方がされており、仏教における祈願は単に絶対者に対するお願いではなく、自分自身に向けた真実の祈りとも捉えられます。この意味で、本願は「真実の祈誓（sacca-kiriyā）」として理解され、最終的には成仏を願い、その実現を目指す行為を含んでいます。

菩薩の誓願

本願の核心を成すのは、仏や菩薩が一切の生あるものを救うために立てた誓願です。さらに、この言葉には二つの重要な側面が含まれています。
1. 因の意味
- 仏になる前に立てた願いが成就することから、もとの願いを意味しています。
2. 根本の意味
- 悟りを完成する根本的な誓願であることを示しています。
原語の「プールヴァ」が示す「以前の」という概念は、仏としての悟りを得るために必ず願いを起こさなければならないことに関連しており、この願いの達成が成仏を可能にするのです。このように、本願は仏の存在の根本を成すものであるといえます。

総願と別願

仏はすべて共通の誓願を持っており、これを「総願（sāmānya-praṇidhāna）」と呼びます。具体的には、四弘誓願（しぐぜいがん）がこれに該当します。

• - 衆生無辺誓願度: 一切の衆生を救済すること。
• - 煩悩無尽誓願断: すべての煩悩を取り除くこと。
• - 法門無量誓願学: 一切の教えを必ず学ぶこと。
• - 仏道無上誓願成: 最高の仏道を達成すること。

一方で「別願（viśeṣa-praṇidhāna）」は、各仏固有の願いを表しており、これによって各仏が独自の特徴を持つことになります。有名なものには、薬師如来の十二願や阿弥陀如来の四十八願があります。
薬師如来の十二願は「すべての衆生を苦しみから解放し、病を癒す」という誓願を含み、阿弥陀如来の四十八願は「念仏を唱える者をすべて救う」という内容です。

日本における本願

日本の宗教的文脈において、本願は古くから特定の行事や施設の成果と関連付けられ、特に「東大寺の本願」や「善光寺本願」といった言及が見られます。これらは寺院の設立や法会の執行など、実践的な側面にも結びついています。

まとめ

本願は仏教における重要な概念であり、過去に立てた誓願が成仏の基礎となります。この誓願には、一般的な衆生すべてを対象とする総願と、特定の仏に関連する別願があります。日本においても、本願の概念は寺院や宗教活動において大きな意味を持っています。

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