札幌フコク生命越山ビル

札幌フコク生命越山ビル：札幌駅前の再開発と街の進化

札幌市中央区北2条西3丁目、札幌駅前通沿いにそびえ立つ札幌フコク生命越山ビルは、2017年に竣工した地上13階地下1階の複合施設です。単なるオフィスビルではなく、歴史的背景と最新の都市計画が融合した、札幌の街の進化を象徴する建築物と言えるでしょう。

歴史的背景：3棟のビルから生まれた新たなランドマーク

現在のビルの敷地には、かつて札幌フコク生命駅前通ビル、越山ビル（2代目）、札幌ビルディングの3棟が建っていました。特に越山ビルは1957年竣工の老舗ビルで、戦前に建てられた初代越山ビルは、GHQ北海道司令部が置かれたこともある歴史的な建物でした。これらの建物を所有する富国生命保険、越山ビルディングズ、伊藤組の3社は、2010年から一体的な再開発に向けた協議を開始しました。交渉は難航しましたが、2011年に伊藤組が札幌ビルディングを富国生命に売却することで合意し、2社共同事業としてプロジェクトが本格化しました。

2012年にはテナントの退去が始まり、2014年には3棟の解体が完了。約1650㎡の敷地面積を有効活用し、札幌駅前通地下歩行空間（チ・カ・ホ）と接続するなど、都市計画との整合性も考慮した設計となりました。容積率の特例措置も活用することで、大規模なビルの建設が可能となりました。

最新の設計：商業施設とオフィス、そして街路空間の融合

「札幌駅前共同ビル」計画としてスタートした新ビルの設計では、4階以上をオフィス、3階から地下1階を商業施設として活用する計画が策定されました。建築事業費は約67億円にのぼり、大窓を効果的に使用した雪をイメージさせる外観が特徴的です。

商業施設は「sitatte sapporo（シタッテサッポロ）」と名付けられ、飲食店を中心に14店舗が入居。道内初出店の店舗も4店舗あり、札幌の食文化を盛り上げる役割も担っています。施設の名称は、「座って（sit）」と「逢って（atte）」を組み合わせた造語で、北海道弁の「したって」「したっけ」を連想させる親しみやすいネーミングとなっています。

地下1階ではチ・カ・ホと直結し、接続部から地上2階までを「ステップガーデン」と呼ばれる階段状の街路が貫いています。このユニークな空間デザインは、2017年度グッドデザイン賞を受賞しました。ビルと街路空間を一体的にデザインすることで、来街者にとって快適で魅力的な空間が実現しています。

主要テナント：多様な企業が集まるビジネス拠点

札幌フコク生命越山ビルには、多様な業種の企業が入居しています。近畿日本ツーリスト北海道札幌支店、プルデンシャル生命保険札幌第二支社、ベルシステム24札幌第4ソリューションセンターなど、幅広い業種の企業が拠点を構えています。その他、マイナビ北海道支社、花王グループカスタマーマーケティング北海道支社、カネカ北海道本社など、北海道における主要企業のオフィスも設置されています。

周辺環境：札幌駅周辺の再開発を象徴する存在

札幌フコク生命越山ビルは、札幌駅周辺の再開発が活発に進められているエリアに位置しています。周辺には、札幌三井JPビルディング（2014年竣工）、大同生命札幌ビル（2020年竣工）、日本生命札幌ビル（2006年竣工）など、高層ビルが立ち並び、札幌駅周辺のビジネス街としての発展を象徴する存在となっています。

まとめ：歴史と未来が交差する札幌のランドマーク

札幌フコク生命越山ビルは、単なるビルではなく、歴史的建造物の再開発、最新の都市計画、そして商業・オフィス機能の融合によって生まれた、札幌の街のシンボルと言えるでしょう。その存在は、札幌の街の進化と発展を物語っており、今後も札幌のランドマークとして重要な役割を担っていくことでしょう。

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