札幌岳

札幌岳：豊平川の水源に位置する、札幌の峰

札幌岳は、北海道札幌市に位置する標高1,293メートルの火山です。支笏洞爺国立公園に属し、その雄大な姿は多くの登山者を魅了しています。山名は、札幌市を流れる豊平川の水源であることに由来しています。豊平川は、明治以前はアイヌ語で「渇いた大きな川」を意味するサッ・ポロ・ペツと呼ばれており、この名称が札幌市の地名語源にもなっています。

山頂には、歴史を感じさせる「石鎚神社」碑と、一等三角点「札幌岳」が設置されています。登山道からは、札幌の街並みや周囲の山々を一望できる絶景ポイントとしても知られています。

登山ルート：2つのコースと縦走ルート

札幌岳への登山ルートは主に2つあります。豊平峡ダム近辺からの冷水沢コースと、八剣山近辺からの豊滝コースです。さらに、空沼岳への縦走ルートも存在し、札幌市内において1000メートル級の山々を縦走できる貴重なルートとなっています。

冷水沢コース

冷水沢コースの登山口には広い駐車場と、登山届を提出する小さなログハウスが設けられています。コース前半には石仏が鎮座し、登山者の安全を見守っています。

コースは冷水沢川を渡渉しながら進み、やがて平坦なカラマツ林へと至ります。このカラマツ林は、1954年の洞爺丸台風による壊滅的な被害の後、マツが密集して植林された場所で、「台風高原」と呼ばれています。

標高860メートル地点には、北海学園大学が管理する冷水小屋があります。初代の冷水小屋は太平洋戦争中に焼失しましたが、1952年に北海道電力によって再建されました。これは、支笏洞爺国立公園内に送電線を建設する際の代償措置として行われたと言われています。

冷水小屋から先は急登となりますが、尾根まで到達すれば山頂までは比較的平坦な道が続きます。

豊滝コース

豊滝コースは、かつて信仰登山に使用されていた歴史あるルートです。毎年整備が行われるとは限らないため、藪漕ぎが必要となる場合もあります。

盤の沢川に沿って盤の沢林道を進み、その終点に登山口があります。急傾斜の道を登っていくと、空沼岳・札幌岳間の縦走路と合流します。この合流地点から札幌岳山頂までは、標高差160メートルの急登が待ち受けています。

縦走路

空沼岳と札幌岳を結ぶ縦走ルートは、札幌市内において1000メートル級の山々を縦走できる唯一のルートです。豊滝コースと合流した後も、山頂までは急登が続くため、体力と技術が求められるルートと言えます。

札幌岳の魅力

札幌岳は、豊かな自然と歴史、そして挑戦的な登山ルートが魅力の山です。登山を通して、札幌の自然と歴史を肌で感じ、達成感を得られる貴重な体験を提供してくれます。

参考資料

『札幌地名考』さっぽろ文庫1
『札幌の山々』さっぽろ文庫48
梅沢俊、菅原靖彦『北海道夏山ガイド』（最新第4版）北海道新聞社、2015年9月10日。ISBN 978-4-89453-795-8。

関連情報

定山渓温泉
豊平川
中山峠
国道230号線
国土地理院 地図閲覧サービス 2万5千分1地形図名： 札幌岳・定山渓

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