札幌市交通局A830形電車

札幌市交通局A830形電車の概要

札幌市交通局A830形電車は1965年に導入された札幌市の路面電車で、同局が運営する市電の一環として重要な役割を果たしてきました。この車両は、前年に登場したA820形の改良版として設計され、特に連接車の構造が採用されています。A830形にはA831+A832号からA841+A842号までの6編成、いわゆる12両が含まれています。

新しいA830形は、A820形同様の曲線美を取り入れたスタイルで提供されました。従来の中扉は乗客の流動性を高めるため、車両の端に寄せられ、片開き式の扉に変更されました。この改良によって、冬季の閑散時期には扉を一枚だけ開けることができる機能が追加され、車内の保温が向上しました。また、運転席右側の扉は廃止され、片側に3つの扉が配置されることとなりました。

この電車のスタイリッシュなデザインと、特に乗降をスムーズに行えるパッセンジャーフローの仕組みは評価され、正社員や鉄道愛好家から高い評価を得る一因となりました。実際、鉄道友の会からは名誉あるローレル賞を受賞しました。A830形は1976年まで運行され、その後はA820形と共に運行が終了しました。

退役と廃車

A830形の退役については、A831-A832号からA835-A836号の3編成が1977年に休車となり、その後長期間にわたり電車車両センターに留置されました。この編成は1984年12月に廃車となり、解体されました。

一方で、A837-A838号からA841-A842号の3編成は1976年5月に廃車となり、名古屋鉄道に譲渡されました。名古屋の路面電車ではモ870形として美濃町線で使用され、そこからA837-A838号（モ871-872）は1988年に、残りの2編成は2005年に同線の廃止に伴い廃車されました。なお、A841号（モ875）の前部は美濃駅跡に記念として保存されています。

主要諸元

A830形電車の主要な技術仕様は以下の通りです：

• - 全長：21,800 mm
• - 全幅：2,230 mm
• - 全高：奇数車が3,515 mm、偶数車が3,465 mm
• - 自重：25 t
• - 定員：150名
• - 出力・駆動方式：45.0 kW×3・吊り掛け式

このように、札幌市交通局A830形電車はその設計の優れた点や、運行における役割を十分に果たしたモデルであったと言えます。廃車後も様々な形でその足跡が残されており、鉄道の歴史において重要な位置を占めています。

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