札幌市東区ヒグマ襲撃事件

札幌市東区ヒグマ襲撃事件

札幌市東区におけるヒグマ襲撃事件は、2021年6月18日に発生しました。この事件では、死者は出なかったものの、4名が負傷しました。実はこの区域で人間がヒグマに襲われたのは、1878年の札幌丘珠事件以来、実に143年ぶりのことだったのです。

札幌市にヒグマが現れることは珍しくありませんが、大半は山地の近くに位置する西区や南区での目撃に限られるため、特に東区での出没には驚きが広がりました。実際、駆除作業を行ったベテランハンターの斎藤羊一郎氏は、東区の住宅街での出現には驚きを隠せなかったと言います。この地域にクマが出ることは考えられないという先入観が、被害の拡大を招いた可能性も指摘されています。

事件の前兆

事件が起こる前、熊が札幌市の北側に広がる増毛山地から増えて移動してきたことが調査によって分かりました。ヒグマは当別町を経由し、石狩川を渡る途中で姿を隠しながら南下しました。襲撃の約3週間前、5月29日には波連湖付近でクマが目撃され、6月1日と16日にはその周辺でフンや足跡が確認されていました。このことから、クマの出現を予測する手がかりが存在したのです。

襲撃の瞬間

事件が発生したのは、6月18日の朝でした。最初の目撃情報は午前2時15分に入ると、その後3時12分には丘珠空港近辺の介護施設に設置された防犯カメラにクマが捉えられました。3時28分には、クマが東区内の路上を歩いている姿が確認され、これらの情報は翌日のニュースでも報道されました。

第1の襲撃

最初の襲撃は午前5時55分頃、76歳の男性がごみを捨てに出た際に発生しました。彼の前方約15メートルの位置にクマが現れ、驚いた男性が逃げると、クマは彼を追いかけ、転倒した男性に接触。幸いにも、男性の怪我は軽傷で済みました。

第2の襲撃

第2の襲撃は、約200メートル離れた場所で81歳の女性に対して行われました。女性はパトカーの呼びかけを無視し、ごみを捨てに出たところを襲われ、小さな突き飛ばしを受けました。怪我は軽く済みましたが、パトカーからの警告がもたらすべき安全意識への重要性を示すものでした。

第3の襲撃

第3の襲撃は、通常通勤路を歩いていた44歳の男性会社員に及びました。彼はクマの存在に全く気づかず、突然の攻撃により重傷を負いました。肋骨6本を骨折し、140針の縫合を必要とし、彼の復帰には7ヶ月を要しました。

第4の襲撃

第4の襲撃は、陸上自衛隊丘珠駐屯地で発生しました。自衛官が注意を払ったものの、クマが接近し、本人が軽傷を負う結果となりました。

駆除作業

襲撃が続く中、道警航空隊のヘリコプターが出動し、クマの行方を追っていました。最終的に、クマは捕獲され、駆除作業が完了しました。体長161センチメートル、体重158キログラムの雄で、前年の餌探しによる人慣れが影響していたと考えられています。

札幌市の対応

札幌市はクマの出没に対する情報を早急に把握し、対策を講じる必要性を認識しました。この事件を契機に、市は今後、クマ出没情報の迅速な共有や職員の派遣を強化する方針を打ち出しました。従来の運用を見直し、さらにYahoo!防災速報を利用することを検討するなど、より効果的な情報伝達体制を整える努力を始めています。

今回の事件は、適切な情報共有や市民の警戒心を高める重要な教訓となりました。

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