札幌村郷土記念館

札幌村郷土記念館は、札幌市東区に位置する博物館です。この記念館は、札幌の開拓者である大友亀太郎と、当時盛んに栽培されていた玉ねぎを中心に、札幌の郷土史を後世に伝えることを目的として開設されました。記念碑や像のほか、館内には数多くの歴史的な資料が展示されています。また、札幌市指定の有形文化財を多数収蔵しており、記念館の敷地全体が大友亀太郎の役宅跡として札幌市指定史跡となっています。

沿革

記念館は1977年4月、郷土の歴史を保存するために地域住民によって開設されました。この場所は、1867年に大友亀太郎の役宅が建設された場所です。当時は現在の伏籠川にあたるフシコサッポロ川にも近く、石狩方面から訪れる船便にとって便利な土地柄であったことが、この場所に役宅が建設された背景にあります。当時この場所の周辺には、穀物入倉や鍛冶小屋、板倉などが位置していました。

その後、札幌本府が建設されたことを受けて、大友亀太郎の役宅は現在の札幌市中央区北1条西1丁目付近へ移動されました。しかし、札幌の創建に多大な功績を残したことが認められ、移動後もこの役宅の土地は文化財として、札幌市指定の史跡に指定されています。

1978年 11月2日には敷地内に札幌玉葱記念碑が建立されました。1986年5月に造られた大友亀太郎像は当初創成川付近に位置していましたが、2005年に行われた創成川通りの整備工事に伴い、記念館の敷地内に移設されています。また、館内には札幌村が設立される前の札幌元村開拓時代の地図や、開拓当初に盛んであった玉ねぎの耕作に関する農具などの資料、さらに大友亀太郎の古文書などが収められています。これらの資料は1987年 2月20日に「札幌村・大友亀太郎関係歴史資料及び史跡」として、札幌市指定の有形文化財に指定されました。これらの資料は、札幌村郷土記念館保存会が札幌市へ寄贈したものです。

施設概要

館内には大友亀太郎文書や開拓当時の人々の生活を復元した炉端、玉ねぎの栽培や耕作の際に使用されていた農機具、馬のドサンコの剥製などが常設展示されています。中でも大友亀太郎の文書には、1867年を皮切りに入植した農民や田畑の開発、それらの出納や運用など30年分を書き綴った「蝦夷地石狩領荒地開発田畑御収納方三十ヶ年組立書上帳」や、御手作場で雇われていた農民とその家族の名前や出生地、年齢、入植した月日などを記載した文書「戸数・人別書上帳」が含まれています。これらは各奉行所や北海道開拓使へ実際に提出されていた資料です。

また、札幌農学校や開拓使から配布された種子をもとにして農業もおこなわれ、その中の一つであった玉ねぎ耕作に関連する資料も収蔵されています。これらの資料には、当時この周辺一帯で栽培・収穫された玉ねぎ、特に札幌黄玉ねぎに関し、作条・耕作・収穫・販売とそれぞれの段階に分かれた系統的な歴史資料が含まれています。さらに、実際に当時使用されていた鍬や、土地の開墾に必要な耕うん整地用具などの農機具も展示されています。

記念館の建物の前庭には、札幌玉葱記念碑と大友亀太郎像、役宅跡記念碑が建設されています。札幌玉葱記念碑は、札幌玉葱記念碑建立期成会により、日本最古の玉ねぎ産地を築き上げ栽培に尽力した先人に感謝し、札幌黄を後の時代へ受け継ぐ目的で制作されたものです。上部の黒石には、文化財保護思想へ貢献し1986年に北海道文化財保護功労賞を受賞した高木圭助による題字が刻まれています。大友亀太郎像とその横に立つ大友亀太郎役宅跡記念碑は、清水利信を委員長とする大友亀太郎像建立実行委員会によって建てられたものです。彫刻の制作には農民彫刻家の松田与一が携わっているほか、題字を当時札幌市長を務めていた板垣武四が担当しました。

2022年10月4日にはウィリアム・ブルックスの顕彰碑が建立されました。

入館は無料で、開館時間は午前10時から午後4時までです。休館日は毎週月曜日と祝日の翌日、12月29日から1月5日までの年末年始となっています。最寄駅は札幌市営地下鉄東豊線環状通東駅です。

資料館周辺

本龍寺
大友公園

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