板垣武四

板垣武四：札幌の発展に尽力した市長

板垣武四（いたがき たけし）は、1916年2月13日に北海道和寒村（現和寒町）で生まれ、1993年8月12日に亡くなった政治家です。1971年に札幌市長に初当選し、5期20年もの間、その任を務めました。彼の時代は、札幌市が大きく発展し、国際都市としての地位を確立した時期と重なります。

生い立ちと札幌との関わり

呉服屋の11番目の子として生まれた板垣は、幼少期に家族との別れを経験し、札幌へと移り住みます。札幌一中（現札幌南高）を経て北海道帝国大学予科に進学しますが、法学への情熱を諦めきれず、上京して東京帝国大学法学部を卒業します。三菱電機での勤務を経て、戦後の混乱期に札幌市役所に入職。秘書課長、経済部長、札幌観光協会理事などを歴任し、さっぽろ雪まつりの創設にも携わりました。

札幌市長としての功績

1971年に札幌市長に就任してからの20年間は、札幌市にとって目覚ましい発展の時代でした。

札幌市営地下鉄の開通：1971年12月、ゴムタイヤ方式の地下鉄が開通し、市民の足として重要な役割を担うようになりました。
札幌オリンピックの開催：1972年には、アジア初の冬季オリンピックが開催され、都市基盤の整備と国際化を大きく進めました。
政令指定都市への移行：1972年4月、札幌市は政令指定都市となり、独自の行政運営が可能になりました。

オリンピック後には「人情の町へ」をスローガンに、文化や福祉を重視したまちづくりを展開。区民センターや図書館、体育館の建設、豊平環状中央分離帯へのリンゴ植樹、百合が原公園やモエレ沼公園などの緑化事業（環状グリーンベルト構想）、冬季ユニバーシアードやパシフィック・ミュージック・フェスティバル（PMF）の開催、さっぽろ文庫の刊行など、数多くの功績を残しました。

その他の業績とエピソード

板垣の長期政権下では、他にも多くの業績やエピソードがあります。

さっぽろ雪まつりの創設：経済部長時代には、戦後の暗いムードを吹き飛ばすため、雪まつりの創設に尽力しました。
こども人形劇場こぐま座の設立：ミュンヘン視察をきっかけに、全国初の公立人形劇場「こぐま座」を設立し、子供たちに夢を与えました。
北方都市会議の提唱：北方都市間の交流を促進するため、北方都市会議を提唱しました。
* 札幌市交通事業振興公社の設立：市民の交通利便性を向上させるため、札幌市交通事業振興公社を設立しました。

退任後

1991年に市長を退任後も、著書の刊行や勲章の受章など、その功績は高く評価されました。2002年には「札幌随筆集」に随筆が収録されています。

板垣武四は、札幌の近代化と国際化に大きく貢献した人物として、今もなお市民に敬愛されています。

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