朱光会

朱光会（しゅこうかい）とは

朱光会は、昭和初期の日本において、皇国史観をイデオロギーとする学生グループとして活動していました。東京帝国大学の学生を中心に組織され、大日本朱光会とは異なる団体です。

結成と活動

1931年（昭和6年）11月18日、東京帝国大学の学生を会員、卒業生を名誉会員として発足しました。当初は文学部の春山作樹が指導教授を務め、後に会長に就任。その後、平泉澄が会長となり、国史学科の学生を中心に会員が増加。1939年（昭和14年）頃には86名に達しました。

会では、月刊の会報『朱光』を発行し、日本精神研究会を開催。陸海軍人に講演を行うなど、活発な活動を展開しました。また、皇国史観を中心とした研究活動も行っていました。

綱領

会の目的は「知識を東西古今に求め、雄大で偏りのない情操を養い、確固たる信念を培い、人格の向上と健全な文化の創造に貢献する」とされています。その上で、以下の綱領を掲げていました。

天皇主義の信奉
皇道に基づく人格完成
質実剛健な学風の作興
建国の精神に基づく日本の建設
* 大日本精神の宣布

これらの綱領からも、朱光会が皇国史観を強く信奉していたことがわかります。

戦後の影響

太平洋戦争の敗戦後、朱光会は解散を余儀なくされました。しかし、その人脈は途絶えることなく、教育界などに残り続けました。例えば、皇学館大学の設立に貢献した人物もいます。

特に、平泉学派に属する人物たちは、戦後もその影響力を保持し続けました。

旧朱光会人脈とその影響

朱光会出身の人物としては、村尾次郎、鳥巣通明、山口康助、田中卓、時野谷滋などが知られています。特に、村尾、鳥巣、山口は文部省の教科書調査官となり、「文部省の三羽烏」と呼ばれ、教科書問題で大きな影響力を行使しました。

村尾は平泉澄の元助手であり、東京教育懇談会を設立。1956年から教科書調査官として教科書検定を主導し、強い影響力を行使しました。村尾の退官後、鳥巣と山口が教科書調査官に就任し、その影響力は継続されました。時野谷滋も後に教科書調査官となり、旧朱光会系の人物が教科書検定に深く関わっていたことがわかります。

1982年の教科書問題の背景には、これらの皇国史観イデオロギーを持つ旧朱光会系の人物たちの存在がありました。また、1983年から1985年にかけて「日本を守る国民会議」が作成した高校日本史教科書も、旧朱光会のメンバーが中心となっていました。

まとめ

朱光会は、戦前の皇国史観を信奉する学生グループでしたが、解散後もその人脈は教育界などに残り、教科書問題などを通して社会に影響を与え続けました。その活動は、日本の戦後教育に大きな影を落としたと言えるでしょう。

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