朱慶瀾

朱慶瀾：激動の時代を生きた軍人・政治家

朱慶瀾（しゅ けいらん、1874年 - 1941年）は、清末から民初の中国を生きた軍人であり政治家です。字は子橋。浙江省紹興府山陰県出身。

清末の活動

幼少期に家庭が没落した朱慶瀾は、学問を志すも1893年に軍隊に入隊。軍功を重ねて頭角を現します。1904年、趙爾巽が盛京将軍に就任するとその配下で軍事改革に尽力し、1909年には陸軍第33混成協協統に任命され、軍の強化に努めました。

1911年、四川総督に就任した趙爾豊が四川鉄道保護運動を武力鎮圧しようとした際、省内は騒乱状態となります。武昌蜂起に呼応する形で革命派が蜂起すると、朱慶瀾は副都督に推戴されました。これは、彼が武力鎮圧に消極的だったことが理由とされています。しかし、兵士たちの暴動を鎮圧できず、下野を余儀なくされました。

黒竜江統治

1912年、袁世凱の命により黒竜江都督を補佐するため、朱慶瀾は黒竜江督署参謀長に任命されます。その後、1914年には護軍使兼民政長、さらに鎮安右将軍（黒竜江将軍）に任命され、黒竜江省の統治を担いました。

朱慶瀾は保安隊組織による社会秩序の安定、開墾事業の展開、公道建設、福祉・救済事業の重視など、軍政・民政の両面で実績を上げました。その質朴な生活態度は人々に感銘を与えたと言われています。

しかし、1916年、袁世凱が皇帝即位を取り消す前後に軍事圧力を受け、下野に追い込まれました。

張作霖の下での活躍

袁世凱の死後、朱慶瀾は広東省長に任命されますが、南北対立や南方政府内の内紛に巻き込まれ、難しい立場に立たされます。その中で孫文への支持を強め、1917年に下野する際には軍権を孫文派の陳炯明に委ねました。

その後、孫文の推薦により、1922年に張作霖から中東鉄路護路軍総司令に任命され、東省特別行政区行政長官も兼任します。ソ連との外交交渉を支援し、1924年には「奉ソ協定」締結に貢献しました。また、内政面でも産業振興や現地商人の交易権保護に尽力しました。しかし、1924年、第2次奉直戦争に反対して辞任しました。

晩年

辞任後、朱慶瀾は社会福祉・救済事業に専念します。満洲事変勃発後は抗日を唱え、戦争被災者救済や文化財産保護に奔走しました。1939年からは、陝西省で開墾事業を展開し、戦争被災者を救済しました。これらの活動は、国民党・共産党双方から高く評価されています。

1941年1月13日、朱慶瀾は西安で病没しました。享年68歳でした。

朱慶瀾は、激動の時代にあって、軍人・政治家として様々な役割を担いながらも、常に民衆の生活を第一に考え、社会福祉に尽力した人物として、その名が記憶されています。

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