朱文進

朱文進（しゅ ぶんしん）

朱文進は、五代十国時代の閩の第6代君主であり、その生涯は簒奪と裏切りに彩られたものでした。

生涯

朱文進は福州永泰県の出身で、元々は閩の太祖である王審知の近衛軍、拱宸都の責任者でした。当時の近衛軍には他に控鶴都がありましたが、康宗が即位すると、自身の近衛軍として宸衛都を設立し、既存の拱宸都と控鶴都は冷遇されるようになり、兵士たちの不満が高まりました。

939年、北宮が火災で焼失した際、控鶴都の連重遇が焼け跡を整理するために軍を派遣しましたが、康宗から放火の疑いをかけられたことから反乱を起こしました。朱文進もこの反乱に同調し、康宗を殺害、王延羲を皇帝に擁立しました。この政変後、朱文進は拱宸都指揮使に任命されました。

康宗殺害後、朱文進と連重遇は、自身らが殺害されることを恐れるようになります。さらに、擁立した景宗王延羲の暴虐な性格に失望した両者は、944年に景宗を刺殺しました。その後、朱文進は連重遇に推挙される形で閩主となり、国内の王姓皇族50余名を殺害、宮女を追放するとともに造営事業を停止するなど、景宗とは正反対の政策を実行し、人心の掌握に努めました。

しかし、まもなく朱文進は帝号を取り消し、後晋に臣下の礼を執り、威武軍節度使に任命されました。後晋の開運元年（944年）12月15日には、石重貴から正式に閩国王に冊封されました。

しかし、この頃には留従效、陳洪進、王延政らの軍勢に圧迫されるようになり、部下が次々と離反していきました。そして、開運元年閏12月29日（945年2月14日）、朱文進は連重遇とともに林仁翰によって殺害され、その短い支配は終わりを迎えました。

朱文進は、その大胆な行動で一時的に権力を掌握しましたが、周囲の状況を読み誤り、最終的には裏切りによって命を落とすという、悲劇的な結末を迎えました。

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