王延政

王延政： 閩の終焉と波乱の生涯

王延政（おう えんせい）は、五代十国時代の地方政権、閩（びん）、または殷（いん）の最後の君主です。太祖・王審知（おう しんち）の子として生まれました。

生涯

兄である景宗・王延羲（おう えんき）が即位すると、その生活は驕慢で奢侈に満ち、酒色に溺れる日々を送りました。王延政はこれを諫めますが、逆に王延羲から疎まれ、兄弟の対立は深まります。永隆2年（940年）、王延羲は王延政が節度使として赴任していた建州（けんしゅう）を攻撃し、閩国内で内戦が勃発します。

内戦は一進一退の攻防が続き、永隆3年（941年）には一時的な停戦に合意。王延政は王延羲によって富沙王（ふさおう）に封じられますが、間もなく内戦は再開されます。永隆5年（943年）、王延政は建州において皇帝を自称し、国号を殷と定め、天徳（てんとく）と改元しました。しかし、王延政もまた、即位後は放漫な財政運営を行い、民衆の生活は困窮を極めます。

同年、朱文進（しゅ ぶんしん）・連重遇（れん ちょうぐう）が王延羲を殺害し、朱文進が閩主に即位するという事件が発生します。これに対し、王延政は建州から討伐軍を派遣しますが、朱文進・連重遇は林仁翰（りん じんかん）によって殺害されます。

天徳3年（945年）、臣下たちは王延政に対し、福州（ふくしゅう）に戻り、閩の国号を復活させるよう要請します。王延政はこれを受け入れ即位しますが、この混乱に乗じて南唐（なんとう）が閩への侵攻を計画し、軍を派遣します。王延政は南唐に抵抗することなく降伏し、ここに閩は滅亡しました。

その後、王延政は南唐の都である金陵（きんりょう）に送られ、元宗・李璟（り けい）より羽林大将軍（うりんだいしょうぐん）に封じられました。後に光山王（こうざんおう）に封ぜられますが、保大9年（951年）に金陵で亡くなりました。

王延政の生涯は、内紛と権力闘争に翻弄され、最後は異国の地でその生涯を閉じるという、波乱に満ちたものでした。彼の治世は短く、その評価は分かれるところですが、五代十国という激動の時代を生き抜いた人物として、歴史に名を残しています。

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