朱楩

朱楩（しゅ へん）：波乱に満ちた明の皇族

朱楩（しゅ へん）は、明朝の初代皇帝、洪武帝こと朱元璋の十八男として生まれました。生母は周妃であり、第三代皇帝である永楽帝とは異母兄弟の関係にあります。1379年（洪武12年）に誕生し、1450年（景泰元年）に72歳でその生涯を閉じました。

岷王としての封建と転落

1391年（洪武24年）、朱楩は岷王（びんおう）に封じられ、当初は雲南の統治を任されました。しかし、彼の性格は非常にいい加減で、時には狂人的と評されるほどでした。王としての義務を全く果たさず、領地に王宮を建設することもなく、粗末な家で暮らしていたとされています。また、国政も顧みなかったため、父帝の崩御後、建文帝が即位すると、その側近の方孝孺らにその行状を問題視され、真っ先に藩王削減の対象となりました。その結果、狂気を理由に王位を取り上げられ、庶民に落とされた上、漳州に流刑に処されるという転落を経験します。

復権と変わらぬ行状

その後、靖難の変を経て異母兄の朱棣が永楽帝として即位すると、朱楩は復権を果たします。しかし、彼の性格は全く変わることがなく、相変わらず礼儀や法を無視し、家臣や民衆を気分次第で殺害したり、勝手に印綬を偽造して命令を出すなど、横暴な振る舞いを繰り返しました。これらの行為は遂に永楽帝の怒りを買い、王の印綬を没収され、召還されることとなります。後に罪は許されたものの、彼の権限は大幅に剥奪され、王位は名目的なものとなり、王宮の建設すら許されませんでした。

その後

1450年（景泰元年）、朱楩は72歳で世を去り、「荘」と諡（おくりな）されました。その波乱に満ちた生涯は、明代の皇族の一つの側面を映し出していると言えるでしょう。

子息たち

朱楩には以下の子息たちがいました。

廃世子 朱徽焲（しゅ きよく）
岷恭王 朱徽煣（しゅ きじゅう）
江川王 朱徽煝（しゅ きはい）
広通王 朱徽煠（しゅ きしょう）
陽宗王 朱徽焟（しゅ きしょう）

参考文献

『明史』列伝第六 諸王三

関連項目

* 朱鎔基（しゅ ようき）: 明朝の皇族とは異なる人物ですが、同姓のため記載しています。

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