朽木元綱

朽木元綱の生涯と業績

朽木元綱（くつき もとつな）は、戦国時代から江戸時代前期にかけて朽木谷を支配した土豪であり、寄合旗本として知られています。彼は、父・朽木晴綱の死後、わずか2歳で家督を継承し、波乱に満ちた生涯を送りました。元綱は、当時の政局において重要な役割を果たすことになります。

元綱の父、朽木晴綱は、天文19年（1550年）に戦死しました。これにより、元綱は幼い頃から家督の重責を引き受けることとなりました。まだ幼かった元綱は、父の遺志を継ぎ、政局に敏感に反応しながら成長しました。天文22年（1553年）には、当時の13代将軍・足利義輝を父に引き続き匿い、彼を守るために活動しました。

永禄9年（1566年）、浅井長政による近江国高島郡への侵攻の際には、元綱は人質を差し出し、また、永禄11年（1568年）には浅井久政・長政父子との間で起請文を交わすものの、間もなくこれを破棄しています。このような動きから、元綱はその時の政情に合わせた行動を取る柔軟性を持っていたことが伺えます。

元亀元年（1570年）、元綱は松永久秀の提案を受けて織田信長の京都からの撤退を支援し、その後信長に仕官しました。その後、彼は信長の配下として任務を果たしましたが、天正7年（1579年）には代官を罷免されてしまいました。このことから、彼が信長に対して必ずしも高く評価されていたわけではないことが明らかとなります。

信長が亡くなった後は、豊臣秀吉に仕官し、伊勢安濃郡・高島郡内の蔵入地の代官に任命されます。小田原征伐にも参加し、文禄4年（1595年）には秀吉から高島郡における石高を安堵されました。また、天正18年（1590年）には豊臣姓を賜る栄誉を受けています。

しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、西軍につくも東軍に寝返るという複雑な経緯を辿ります。この時、元綱は小早川秀秋に呼応する形で東軍へと移動しました。結果、彼の石高は一時的に減少したとされるものの、その詳細には諸説あり、減封が実際にあったのか、その内容によっては異なる意見も存在します。

元綱は元和2年（1616年）に剃髪し、以降は「牧斎」と名乗ります。彼は寛永9年（1632年）に朽木谷にて亡くなり、享年84歳でした。その死後、遺領は三人の息子によって分割されました。これにより、朽木宗家は6,300余石に縮小しましたが、その後、末子の稙綱が江戸幕府3代将軍・徳川家光の信任を受けて大名に取り立てられることになります。この結果、嫡流よりも庶流の方が所領が上回るという珍しい現象が生じました。元綱の生涯は、戦国の動乱と江戸時代の流れを映し出す重要な歴史の一端を担っているのです。

もう一度検索