杉之尾宜生

杉之尾宜生（すぎのお よしお）氏は、1936年生まれの日本の戦史研究家であり、元防衛大学校教授です。本名は杉之尾孝生といいます。

経歴

鹿児島県で生まれた杉之尾氏は、ラ・サール高校を経て防衛大学校（本科第5期・応用化学科）を卒業しました。陸上自衛隊では、第7戦車大隊、第7偵察隊、中央調査隊、第1偵察隊、中央資料隊などに勤務し、1991年に1等陸佐で退官しました。

退官後は、防衛研修所戦史部、防衛大学校助教授、そして同校教授（戦史、戦略）として教鞭を執り、2001年に定年退官しました。その後、国士舘大学で非常勤講師（安全保障）を務めました。

研究分野

杉之尾氏は、孫子の兵法、クラウゼヴィッツ、中東戦史、日本近代戦史を専門としています。特に、軍事戦略や組織論に関する研究に力を注いでおり、その成果は多くの著書や論文にまとめられています。

父親は、大日本帝国陸軍の杉之尾三夫中佐です。

主な著作

単著

『日本をチベットにする中国の野望』（講談社、2008年）
『孫子　現代語訳』（日本経済新聞出版社、2014年）
『大東亜戦争　敗北の本質』（ちくま新書、2015年）

共著

『中東戦争論文集』（陸戦学会、1980年）
『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』（ダイヤモンド社、1984年）
『創造の経営戦略』（総合法令、1993年）
『近代日本戦争史　第四編　大東亜戦争』（同台経済懇話会、1995年）
『安全保障学入門』（亜紀書房、1998年）
『軍事学入門』（かや書房、1999年）
『戦争論の読み方』（芙蓉書房出版、2001年）
『PKOの真実』（経済界、2004年）
『教科書　日本の安全保障』（芙蓉書房出版、2004年）
『戦略の本質―戦史に学ぶ逆転のリーダーシップ』（日本経済新聞社、2005年）
『大国ロシアになぜ勝てたか』（芙蓉書房出版、2006年）
『撤退の研究―時機を得た戦略の転換』（日本経済新聞出版社、2007年）
『失敗の本質―戦場のリーダーシップ篇』（ダイヤモンド社、2012年）
『戦略古典の本質　孫子がわかれば、中国がわかる』（ダイヤモンド社、2013年）
『物語 クラウゼヴィッツ「戦争論」』（日本経済新聞出版社、2015年）
『「失敗の本質」と戦略思想―孫子・クラウゼヴィッツで読み解く日本軍の敗因』（ちくま新書、2019年）

共訳

ブライアン・ボンド『戦史に学ぶ勝利の追求』（東洋書林、2000年）
ハリー・サマーズ『アメリカの戦争の仕方』（講談社、2002年）
マイケル・I・ハンデル『米陸軍戦略大学校テキスト 孫子とクラウゼヴィッツ』（日本経済新聞出版社、2012年）

監修・単著

『戦略論大系①孫子』（芙蓉書房出版、2001年）
『クラウゼヴィッツ「戦争論」のことがマンガ』（明日香出版、2003年）
『面白いほどわかる孫子の兵法』（日本文芸社、2003年）
『オール図解　孫子の兵法』（日本文芸社、2005年）
『新版 面白いほどわかる孫子の兵法（学校で教えない教科書）』（日本文芸社、2013年）

論文

杉之尾氏は、数々の学会誌にも論文を発表しています。主な論文として、以下が挙げられます。

「失敗の本質――組織学習・自己革新の至難性」（KM学会年報第１号、1999年）
「帝国陸軍の戦争観―『戦争論』誤解釈の観点から」（防衛大紀要80輯、2000年）
「軍事組織におけるナレッジ・マネジメント」（防衛大紀要82輯、2001年）
「日本陸軍の日露戦争史研究の基本姿勢」（ＫＭ学会年報第3号、2001年）
「軍事古典の現代的意義」（国士舘大政教研紀要第26号、2004年）
「有事法制論議の背景にある基本的問題」（国士舘大政教研紀要第27号、2005年）

学会活動

杉之尾氏は、以下の学会で理事や役員を務めています。

戦略研究学会（理事兼事務局長）
国際戦略シナジー学会（総括理事）
日本軍事史学会（理事兼編集委員）
日本ナレッジ・マネジメント学会（評議員）
孫子経営塾（代表）
日本危機管理学会（理事）
日本クラウゼヴィッツ学会（顧問）


杉之尾宜生氏は、長年にわたり、戦史研究と教育に尽力し、日本の軍事研究の発展に大きく貢献しました。その幅広い知識と深い洞察力は、多くの人々に影響を与え続けています。

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