杉安峡

杉安峡は、宮崎県西都市を流れる一ツ瀬川に位置する、深い峡谷と緑豊かな自然が織りなす景勝地です。1958年（昭和33年）9月1日に西都原・杉安峡県立自然公園の指定区域となりました。

かつての賑わい

その美しい景観から「日向の嵐山」とも称された杉安峡は、かつて屋形船が行き交い、旅館や料亭が建ち並ぶ活気に満ちた場所でした。周辺は米良街道（国道219号）の要所であり、米良山から筏で運ばれてきた木材の集積地として栄えました。さらに、鉄道（国鉄妻線）の開通により、杉安駅周辺には製材所が集中し、その賑わいは一層増しました。

一ツ瀬ダムの工事が始まると、工事関係者向けの商店が軒を連ね、活況を呈しましたが、ダム建設によって峡谷の景観は一変しました。また、沿線集落の過疎化に伴い妻線が廃線となり、杉安峡は衰退の一途を辿ることとなりました。

悲しい事故

1980年（昭和55年）1月6日には、杉安峡にかかる国道219号近くの吊り橋のケーブルが切断し、22人が22メートル下の川に転落、7人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。この事故は、一度に多くの人が吊り橋を渡ろうとしたためにケーブルが重さに耐えきれなかったことが原因とされています。

現在の杉安峡

現在は、高塚山森林公園への遊歩道が整備され、夏の避暑や秋の紅葉を楽しむ人々が訪れます。また、オガタマノキの繁殖地としても知られています。かつての賑わいは失われたものの、杉安峡は今もなお、その美しい自然で訪れる人々を魅了しています。

アクセス

お車の場合：東九州自動車道西都ICから約15分
公共交通機関の場合：宮崎交通バス杉安停留所下車

注意事項

川での遊泳は危険ですのでおやめください。
吊り橋は老朽化している箇所がありますので、注意して通行してください。
* 自然保護のため、ゴミは持ち帰りましょう。

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