オガタマノキ

オガタマノキ

オガタマノキ（学名: Magnolia compressa）は、モクレン科に属する常緑高木で、日本に自生するモクレン科の植物の中で唯一の常緑樹として知られています。この木は、もともと「招霊」から名付けられたとも考えられており、神道においては特別な意味を持っています。日本の関東地方から台湾にかけて分布し、神社に植えられることが多いです。特に神事や祭事に用いられることもあります。

特徴

オガタマノキは、通常10から15メートルの高さに成長しますが、時には20メートル以上に達することもあります。幹は太く、直径は30から80センチメートルあり、樹皮は暗灰褐色で滑らかです。また、香りも非常に良いため、花が咲く時期にはその香りが周囲に広がります。

葉は互生し、幅2から5センチメートル、長さ5から14センチメートルの狭倒卵形で光沢があります。葉の表面は深緑色で、裏面は白味を帯びています。これらの葉は強い光沢を持ち、扱いやすいのが特徴です。

花は2月から4月にかけて咲き、直径約3センチメートルの両性花が葉腋に1つずつ現れます。花びらの数は通常12枚で、全て花弁状です。内側の花弁はやや小さく、黄白色で根元に紫紅色が見られるのが特徴です。花の香りの主成分は安息香酸メチルであり、花壇や庭に植栽されると庭を華やかにします。

果実は9月から10月にかけて熟し、袋果がブドウの房のように集まった集合果になります。これらの果実は赤い外層で覆われており、見た目も魅力的です。

生態

オガタマノキは、関東中南部から西へ、さらに四国や九州の太平洋沿岸に分布しています。丘陵や山地の林地に生息しており、ミカドアゲハの食樹としても知られています。

2022年現在、オガタマノキはモクレン属に分類され、その中でも特にオガタマノキ節に属します。八重山列島や台湾に分布するものは、少し葉や花に特徴があります。

人間との関わり

オガタマノキは、和名が「招霊」に由来し、神道の信仰体験の一部とされています。日本神話の中では、天照大神が隠れていた際に天鈿女命がこの木の枝を通じて舞ったと伝えられています。神社に植えられることが多く、神木とされたり、神前に供えられたりすることもあります。特に京都の白峯神宮には、樹齢800年とされるオガタマノキがあり、天然記念物に指定されています。

また、オガタマノキの果実が模された神楽鈴も存在し、これも神聖な儀式に使用されます。材質は良質な木材とされ、家具にも使われることがあります。

さらに、オガタマノキは正仁親王のお印としても知られており、いくつかの町で「町の木」として定められています。

その他の情報

オガタマノキの花言葉は「畏敬の念」であり、美しい花が咲く木として親しまれています。また、大賀玉の木という名の別の木が新年の飾りに使われるため、混同されることがあります。オガタマノキは晩春の季語としても使用されることがありますが、人々の健康や安全を願う重要な存在とされています。

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