杉山卓 (アニメ演出家)

杉山 卓 — 日本のアニメ界への貢献

杉山卓（すぎやま たく）は、1937年5月8日生まれの日本のアニメーターおよびアニメ演出家である。彼は造形表現研究所所長であり、タクプロダクション代表も務めている。京都アニメーションの共同創業者である八田陽子（旧姓: 杉山）は彼の実の妹であり、アニメーション業界における家族の影響も否定できない。彼は静岡県浜松市北区に現在も在住しており、アニメ制作や教育に関する多岐にわたる活動を続けている。

生い立ちと初期の経歴

杉山は東京都出身で、第二次世界大戦末期には山形県に疎開していた。彼は東京都立豊多摩高等学校を卒業し、高校では山岳部に所属していた。中学・高校の同級生である大田朱美（宮崎駿の夫人）とは長い縁がある。1956年5月のこと、東京芸術大学の油絵科を目指して浪人中に、姉の勧めで東映動画の開いた募集に応募。800人の中から10人の合格者の一人となり、アニメの道を歩むこととなる。その後、武蔵野美術学校に進学するために東映を辞め、卒業後は岩波映画製作所やテレビ動画に携わった。

アニメ制作の道

彼は手塚治虫が設立した虫プロダクションに移り、演出家としてのキャリアを積んでいく。特に『鉄腕アトム』や『W3』などの作品で重要な役割を果たし、虫プロが倒産した後も手塚との関係を維持した。特に1980年に公開された『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』では監督と脚本を手掛け、その名を広めた。1970年代から1980年代にかけてのアニメブームの中で、彼は日本のアニメ史や新作アニメに関する書籍多く執筆するなど、知識の普及にも貢献した。

京都アニメーションへの先駆け

彼の妹がアニメ業界に入るきっかけを作り、その後Ａと京都アニメーションの設立にも関与する。1981年、妹の陽子がアニメ制作の事業立ち上げを持ちかけてきた際、杉山はシンエイ動画の社長である楠部を紹介。これが京都アニメーション創立のきっかけとなった。2019年には、京都アニメーションの火災事件を受けて、報道機関の取材に応じ、創業者の兄としての立場から語る機会もあった。

教育活動と後進の育成

長年にわたり、杉山は幼児向けの教育や後進の育成にも力を注いでいる。1967年には「柿の木美術教室」を設立し、1975年に造形表現研究所を設立、幼児教育教材の開発・販売を行っている。また浜松市立平山小学校でも実習体験を通じてアニメ制作の楽しさを伝えている。さらに、東京デザインテクノロジーセンターではアニメーション技術を教え、豊橋市でもアニメーター養成講座を開催している。

杉山の教育に関する取り組みの一環として、特許を出願した「パラパラマンガ実演機」がある。しかし、その審査請求がなされなかったため、結局特許として成立することはなかった。

参加作品と著書

杉山は数多くのアニメ作品で監督や演出を手掛け、多様な内容の著書も残している。『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』や『W3』などの代表作に加えて、アニメ関係の書籍やジュブナイル小説も数作著している。彼の活動は多方面にわたり、日本のアニメ界には欠かせない存在となっている。

杉山卓は、アニメーションという文化を支え、育ててきた情熱と意欲を持った人物でもある。彼の影響は、次世代のクリエイターたちにも確実に受け継がれていくことでしょう。

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