李グウ

李鍝（り ぐう）の生涯とその影響

李鍝（イ・ウ）は、1912年11月15日に日本領朝鮮の京城府に生まれた。彼は大韓帝国皇帝高宗の五男、李堈の子として、李王家に属する公族であった。李鍝は陸軍大学校を卒業した後、日本陸軍に仕官することとなり、さらには1945年に広島市で広島原爆に被爆した。彼の生涯は、朝鮮の王族としての誇りと、日本という異国の土台で育った日本の公族の運命を背負っていた。

幼少期から運動を好み、特に馬術に対する強い愛情を持っていた李鍝は、1917年に突然、養子として雲峴宮の宗主となる。彼は「李鍝公殿下」として知られるようになり、皇族としての教育と義務を果たすこととなる。1922年には内地に渡り、学習院で学び、さらに陸軍中央幼年学校へと進学した。彼の学生時代には、幼馴染であり、後の妻となる朴賛珠との初恋のエピソードも残されている。

彼は1933年に陸軍士官学校を卒業し、野戦重砲兵科に所属することになった。彼の結婚生活は、1941年に朴賛珠との結婚を経て、二人の男の子をもうけることにつながった。李鍝は、持ち前の能力を生かし、陸軍大学校を無事卒業した後、教育参謀として広島に赴任することとなった。

広島での運命の日、1945年8月6日、李鍝は馬に乗り司令部に向かう途中、原爆に被爆。この瞬間は彼の人生の最期を告げるものであり、彼は被爆後も必死に司令部へ向かったが、力尽きることになった。彼の死は、同日の夕刻に捜索隊によって発見され、入院先の病院で翌日の朝に息を引き取った。彼の最後の瞬間は、多くの人々に衝撃を与え、彼の功績は評価され、死後に大佐に昇進した。

彼の死後、李鍝の名は公に知られることとなり、葬儀には多くの人々が弔問に訪れた。彼の亡骸は京城の故郷に運ばれ、葬儀は京城運動場にて行われた。李鍝は生前、多くの栄誉を受けており、その中には勲一等旭日桐花大綬章や大勲位菊花大綬章などが含まれていた。

慰霊碑と分断の歴史

広島における李鍝の被爆は、彼を通じて多くの韓国人の体験を象徴するものとなった。1970年には、彼を追悼するための慰霊碑が建設され、李鍝の被爆死を記念する場が設けられた。しかし、その場所決めの過程で南北の意見が対立し、慰霊碑に刻まれる表現の違いによって争いが生じた。最終的に、慰霊碑には「韓国人」が表記され、1999年には平和公園内に移設されることとなった。

李鍝はその短い生涯の中で、朝鮮の王族としての流儀と日本の武士道を体現した人物であり、その人生は当時の歴史的背景と共に今日に至るまで影響を与え続けている。彼の死とその物語は、原爆の悲劇とともに日本と朝鮮の歴史を深く考えさせるものとなっている。

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