李元景

李元景（り げんけい）

李元景は、唐の高祖・李淵の六男として生まれました。生年は明らかではありませんが、その生涯は唐朝初期の政治情勢と深く関わっています。

生涯

李元景は、李淵と莫嬪（ばくひん）の間に生まれました。武徳3年（620年）には趙王に封ぜられ、その才能を早くから認められていました。武徳8年（625年）には安州都督に任じられ、地方の統治を担いました。

貞観初年には、雍州牧・右驍衛大将軍に累進し、首都とその周辺の防衛に重要な役割を果たしました。貞観10年（636年）には、荊王に徙封（せきほう）され、荊州都督となりました。荊州は長江流域の要衝であり、その地の統治を任されたことは、李元景に対する李淵の厚い信任の証と言えるでしょう。その後、鄜州刺史（ふしゅうしし）に転じ、地方行政官としての経験を積みました。

永徽初年には、司徒（しと）という高い位に進められ、実封1500戸を受けました。これは、彼が国政において重要な地位を占めていたことを示しています。

しかし、永徽4年（653年）、李元景の運命は暗転します。房遺愛（ぼういあい）の謀反事件に連座し、子の李則（りそく）と共に処刑されてしまったのです。房遺愛は、唐の功臣である房玄齢（ぼうげんれい）の子であり、その謀反は朝廷に大きな衝撃を与えました。李元景がこの事件にどのように関与したのかは定かではありませんが、皇族という立場が災いし、疑いをかけられた可能性があります。

李元景の死後、その功績が認められ、沈黎王（ちんれいおう）として追封されました。これは、彼の名誉が回復されたことを意味します。李元景の生涯は、唐朝初期の皇族の栄光と没落を象徴する出来事と言えるでしょう。

伝記資料

李元景に関する伝記は、『旧唐書』巻64 列伝第14「荊王元景伝」と『新唐書』巻79 列伝第4「荊王元景伝」に収録されています。これらの史料は、李元景の生涯を知る上で重要な情報源となります。

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