李淵

李淵（り えん）

李淵（566年4月7日 - 635年6月25日）は、唐王朝の初代皇帝であり、廟号は高祖。隋末の混乱に乗じて挙兵し、唐を建国しました。

生涯

出自

李淵の出自は、一般的に隴西李氏とされ、五胡十六国時代の西涼の武昭王・李暠の末裔とされています。しかし、実際には鮮卑系の出自であり、漢民族の支配を正当化するために漢人の末裔と主張したという説も有力です。唐王朝の繁栄は、李氏が鮮卑の血を引いていたからこそ成し遂げられたという見方もあります。

隋の唐公として

李淵は、北周の八柱国の一つである唐仁恭・李昞の子として生まれました。隋代には文帝の信任を得て、各地の官職を歴任。煬帝の時代には、高句麗遠征の兵站を監督したり、楊玄感の乱を防いだりと、軍事的な才能も発揮しました。617年には太原留守に任じられ、次男・李世民らの勧めもあり、ついに挙兵を決意します。

唐の建国

617年6月、李淵は挙兵し、長安を占拠。隋の恭帝・楊侑を擁立し、相国・唐王となります。618年5月、煬帝が殺害されたことを知ると、恭帝から禅譲を受け、皇帝として即位。唐王朝を樹立しました。しかし、当時の中国は群雄割拠の状態であり、李淵は王世充や竇建徳といった勢力との戦いを強いられました。

太宗への譲位と晩年

李淵は、李世民らの活躍によって群雄を次々と平定。しかし、後継者争いが激化し、626年の玄武門の変で李世民が皇太子・李建成と斉王・李元吉を殺害するという事件が起こります。これを受け、李淵は李世民に譲位し、太上皇として隠居。635年に71歳で崩御しました。

仏教政策

李淵は、即位当初は仏教を容認していましたが、後に仏教寺院の廃止や僧侶の還俗を命じるなど、厳しい政策を打ち出しました。しかし、玄武門の変によって退位したため、これらの政策は実行されませんでした。

諡号

李淵の諡号は、当初は大武皇帝でしたが、後に高宗によって神堯皇帝に改められ、さらに玄宗によって神堯大聖皇帝、神堯大聖大光孝皇帝と改称されました。

李淵の出自に関する論争

李淵の出自については、隴西李氏とする説が一般的ですが、鮮卑系とする説も根強く存在します。南宋の朱熹は、唐の皇室を「夷狄の出身」と批判し、1930年代には、李淵の祖父・李虎の親族の名が胡族風であることから、李氏が胡族ではないかという主張もなされました。陳寅恪は、唐室李氏の出自を趙郡の李氏であると主張しましたが、現在でも中国学界では、李淵の男系が鮮卑であるという説が議論されています。

登場作品

李淵は、数多くの歴史ドラマや小説に登場し、その生涯が描かれています。

『新・少林寺』（1999年、中国）
『創世の龍 〜李世民 大唐建国記〜』（2006年、中国）
『皇帝 李世民〜貞観の治〜』（2006年、中国）
『隋唐演義 〜集いし46人の英雄と滅びゆく帝国〜』（2013年、中国）
『大唐見聞録 皇国への使者』（2018年、中国）

関連項目

武川鎮軍閥

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